[三階まで登って360度パンがエグすぎ]　50点

フェヨスがハリウッドで撮った二作目。本人的には人生最大の失敗作らしいが、撮影監督ハル・モーアは楽しんで撮ったようだ。トーキー時代の最初期に製作された本作品が量産型ミュージカルの中に埋没してしまうことを、フェヨス自身も分かっていたのかもしれない。事実、物語はギャングと踊り子が絡むロマンス、ミュージカルに内幕ものという笑ってしまうくらいありがちな設定だ。ユニバーサルは映画化の権利だけで既に大金を使っており、それを取り返すためにも大作に仕上げるしかなかったのだが、これまで好きな題材を撮っていた彼にとっては最初の大きな重荷となったことだろう。

興味深いのやはりカメラワークだ。ハリウッド・バビロンの全景を撮るのかというくらいの高さから地上までビューンと降りて来たり、一階席から二階席までをワンテイクで収めたり、三階席まで上昇しながら360度パンしたりと、客席を縦横無尽に駆け抜けるカメラの動きには驚かされる。それもそのはず、このためだけにバカでかいクレーンを製造し、そのクレーン(重量約30トン)に耐えられるステージを別に作り直したのだ。ハル・モーアもさぞかし楽しかったことだろう。

ラストがめちゃくちゃ雑なパートカラーになってて笑ってしまった。

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