高林初期の「すばらしい蒸気機関車」（70）に続く作品。本作は美術（内藤昭）と照明以外はすべて高林の手による。台詞も音楽もなく、演技で話を理解させようとする。その話が高尚なわけではない。映画関係者、スタッフからは「セリフも音楽もないのは、音入れの知識がなく、出来なかったのだろう」と批判的だったが、次が「本陣殺人事件」、そして「金閣寺」、角川映画、日活ロマンポルノまで手掛けるのだ。面白いとは思わないが、独特の作風は誰にも真似できない。

小さなお寺の住職が性欲を持て余して悶々とするのを、しんねりむっつりしたタッチで描く。マスかいてとんだ精液が仏像にひっかかるシーンがヨーロッパでかなりびっくりされたらしい。