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地球の静止する日のimtanのレビュー・感想・評価

地球の静止する日(1951年製作の映画)
4.8
「地球の静止する日」
1951年のモノクロ映画であるだが、古さを感じさせない物語の構成に驚かされる。

当時の技術のため、見た目や演出はどうしても古臭いものになってしまうが、それを感じさせない物語全体に漂う緊張感がある。

この「不気味さ」は人類理解を超越した存在に対する畏怖だと考える。天板が飛行する原理も、ゴートに搭載されている(であろう)AIの説明も、量子論の説明も一切ない。謎の装置。「エルプサイコングルゥ」みたいな意味の分からない言葉。

その「理屈のなさ」「意味不明さ」が物語の根幹にある恐怖感、緊張感につながっている。

「十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」というが、どうも最近の人類は「魔法」を見ると荒唐無稽である判断されてしまうようだ。

最近のSF映画というのは理論じみて、それはそれで面白いが、私たちの知っていることで説明しようだなどとおこがましい「魔法」を表現した映画だった。
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