Eike

グランド・ツアーのEikeのレビュー・感想・評価

グランド・ツアー(1991年製作の映画)
3.2
V・ディーゼルの出世作「ピッチ・ブラック」などで知られるB級娯楽映画の旗手、デビッド・トゥーヒーの監督デビュー作。

アメリカのとある田舎町。
妻を亡くしたベン・ウィルソン(J・ダニエルズ)は一人娘のヒラリーと小さな宿を改装中。
そんなある夜、あるグループが突然宿泊を希望してやって来ます。
町にもホテルがあるのになぜ?と思いながらも臨時収入を喜ぶベンでしたが、このゲストたちの奇妙な行動に次第に不審感が募ります。
彼らの目的は何か、それを探っていくと思いもよらない危機がベンを待ち受けていた…。
1992年の作品ですから今見ると少々野暮ったさを感じさせますね(テンポなど)。
ただ、お話そのものは中々面白くて見ている内にちゃんと引き込まれました。
SFとしてのネタは全体の半分辺りで明らかになってしまう展開でその後どうなるのかと思えばむしろそこからが本筋。

原作があるらしいのですがタイムトラベルテーマのあの手この手を駆使したお話はサービス精神が中々に旺盛。
正直詰め込み過ぎのきらいもありますが本作に関しては「よくガンバリましたね」と評価したい。
禁じ手とも言える展開をもしれっと盛り込んで楽しませてくれます。
主演のジェフ・ダニエルズは華こそありませんが、さすがに巧くサスペンスもユーモアも一人で全部引き受けて大車輪の活躍を見せております。
舞台が風光明媚な田舎町に限定されている点も好感を持てます。
ラストは予想通りではありましたが見せ方に抑制が効いていて節度があって良かったですね。
決して派手な作品ではありませんが、確かなセンスとこだわりを感じさせる拾い物になっております。

こういうアメリカ製のB級映画も最近では希少になりましたね。
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