マイナー美少女映画発掘シリーズ。
後に「けいおん！」等で声優を務める寿美菜子主演の静かなウイルスパンデミックムービー。本作だが、映画を本格的に観始めて間もない高校3年生の頃に何故選んだのか覚えていないがレンタルで鑑賞しており、10年以上ぶりの再鑑賞。とはいえほぼ記憶は残っていないので実質初見。

だんだんと肉体が腐っていき、治療法も見つかっていないウイルスが蔓延する世界で、実家の診療所を手伝う少女と患者の少女が心を通わせていくガールミーツガールもの。2時間近い長さでかなり淡々としているためかなり眠くなるのだが、寒々しく寂しげな映画全体の雰囲気がなかなか良く、なんとか観れる。全体的にもうちょい削って100分くらいでも良かったと思うが。

メインとなる2人の関係性描写は良かった。感染した自分とのキスを迫るシーンなど若干百合的な雰囲気も持たせつつ、別れが来ることを分かった上で“ここではないどこか”を2人で目指していく終盤の展開はなかなかグッとくる。

ロングショットが多用された撮影も、終末感のある舞台を際立たせていた。固定された画角での人物の出入りだったり、あっさりと描かれる拳銃自殺だったりと、黒沢清に影響を受けていそうだとは感じる。また、中盤では感染者の末路をゾンビ映画的なビジュアルで大胆に提示したり、終盤で腐り落ちる腕のギョッとするようなタイミングだったりはかなり印象的だった。

これらのシビアな面をちゃんと描いていたからこそ、ラストの終わらせ方は若干消化不良というか、逃げを感じてしまった面もなくはない。解釈の余地があった方がいいという人もいるだろうし、ここは好みだと思うが。

• #マイナー美少女映画発掘シリーズ

『けいおん！』の寿美菜子主演。全く予備知識なしで観たら広義のゾンビ映画でビックリした。『AIR』とか『CLANNAD』を観ていたときのような感覚。00年代の病弱な少女像。
あと、包帯とその下に隠された炎症の具合にエロスを感じたのは初めて。

身体が腐って死ぬ病気が蔓延する世界の話