Shelby

チャイナタウンのShelbyのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
3.8
正直、1度見ただけではすべてを把握仕切ることが出来ず、呆気にとられている間に終盤に差し掛かってしまっていた。
ただ物語を正しく理解していない私でも、終わり際に悟ることが出来た。それは、必ずしも正義が悪に勝る訳ではないという紛れもない事実。ジェイクが必死の思いで辿り着いた真相が日の目を見ることはなかった。そればかりか、正義の象徴である警察官達までもが権力の前で目を瞑ってしまう。

「チャイナタウン、怠け者の町。」
そう呟いたジェイクに今観たことは忘れろと同僚の警察官から釈放する代わりに口止めされる。強烈的な印象を残す幕切れ。

フィルム・ノワールの中でも代表作のチャイナタウン。主人公ジェイクを演じるのは、脂ののった若かりしジャック・ニコルソン。今と殆ど変わらずまんまやないかいとツッコミを入れたくなるほど変わってない。

私立探偵であるジェイクが浮気調査をするため、現場をカメラに収めるシーンでは、映るはずのない対象者2人の熱い姿が観客からでも分かり易いように、カメラレンズに映像をはめ込んでいる。クローズアップからのロングショット等所々の映像効果も秀逸なものだった。

退廃的で悲壮感漂う中に、ハードボイルド要素が加わることで、シビれるクライムアクションに。映画を鑑賞してから暫くたっても舌の上にザラつきを残す後味のある終わり方。現実味のない勧善懲悪を描くよりも、一層面白みを感じた。
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