いくらサーモン生ハム

モンスターズクラブのいくらサーモン生ハムのレビュー・感想・評価

モンスターズクラブ(2011年製作の映画)
3.4
期待してなかったけど良かった。最初の長いモノローグに大変共感したが、ちょっとググると設定から何からほぼユナボマー事件そのまますぎて、うーん、もっとオリジナリティがあると良かったなとは思う。退屈とまではいかなくても興味深さがちょっと足りない。こういう問題意識を持っていない人に訴えかけるインパクトあるいは分かりやすさはないような気がしたな。このようなメッセージを出すこと自体が大変だし、時間が経って少しでも伝わればいいということかもしれない。

あんなに幸せそうだった家族があっさりバラバラになって子供達がなんかそれぞれ落ち込んでいくっていう感じがあまり感情移入できなかった。

瑛太は希望してこの配役を演じたそうだけど、宮沢賢治を読むには力が足りないのではないかと思った。窪塚洋介はいつでもどこでも窪塚洋介なんだが、それがこの映画にフィットしていたかはちょっと疑問。そういう不具合というかズレというか甘さというか青さというかそういうのも豊田映画の味と言えなくもないけど。

しかし答えは出ないんだよね。ほとんどの人が意識するとせざるに関わらず奴隷として生活するしかない社会の中で、それに気づいてしまってどうやって生きていったら納得できるのかなっていうのは。まあ最後に一応、あきらめないで生きていけよとは言うんだけども。そこはわりと一貫した豊田利晃のメッセージではある。

世界にどんどん失望していて本を読む気すらしなくなっているけど、カジンスキー(ユナボマー)の文章、本を読んでもいいなと思えて良かった。