えいがドゥロヴァウ

過去のない男のえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

過去のない男(2002年製作の映画)
4.1
アキ・カウリスマキの作品には
社会的なヒエラルキーから照らし合わせると
下層の人物を主人公に据える傾向が伺える
過去のない男とは即ち何か
過去とは何か
栄光?
挫折?
自負やプライドか
はたまた覆い隠したい悔恨か
そういった成功だったかも失敗だったかもしれない「過去」というものに捉われることがなくなった男
ある意味で恵まれていて、ある意味で不憫な男
カウリスマキはそういった主人公像をフィルターにして
個人の幸福や不幸というものを多元的に提示する

敗者とは何だろうか
幸福とは何だろうか
僅かでも確かな繋がりを感じられるのであれば
きっとその人は幸福になれるのではないか
少なくともその可能性は十分に孕んでいるんじゃないか
あとは、その人の感度次第

なんかねー、カウリスマキの作品、特に「敗者三部作」を観るたびに
そんなことを考えさせられながら
エンドロールに入るときにはホッコリとさせられている
その心地の良いのなんのって
たまりませんやね