記憶喪失で過去を無くした男が、回りの人間との関わりの中で・・というシンプルなストーリー。小難しいことは無いのにも関わらず、心に沁みるような感覚があり、言葉に表し難いですが、魅力的です。
会話劇が中心で、刺激的な会話や個性的な人物が出てくる訳では無く、徹底してそういった演出を排しているのですが、会話や人物に味がある、というのでしょうか、全く飽きません。
映像も派手ではないですが、拘りが強く感じられ、ラストシーンの列車のカットは特に美しく最高です。
テーマ的にも、大きく構えず、ゆったりと力を抜いて「人間讃歌」を表現していて、気軽に観られて心地良くも美しくもある映画です。