Dakota

レオン 完全版のDakotaのレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
3.2
・取り戻した、生きる意味
〈あらすじ〉
凄腕の殺し屋レオンはある日、12歳の少女マチルダの命を救った。麻薬取締局の悪徳捜査官スタンスフィールドらに、彼女の家が襲撃を受けている最中だった。家族4人を惨殺されたマチルダは、幼い弟の復讐のため、殺し屋の見習いとしてレオンの元に身を寄せる。辛い人生を歩んできた2人は、次第に心を通わせていく…。

▼昔付き合っていた恋人の死をきっかけに、殺し屋となったレオン。以来、街からも出ず恋人もつくらず、殺しの仕事依頼を淡々とこなすだけの孤独な日々を送ってきた。一方、マチルダは家庭環境に恵まれず、鬱屈とした思いを抱えてきた。そんな2人は生活を共にするうち、お互いの存在に生きる意味を見出していく。

▼レオンに助けられたマチルダは、彼に恋する。年齢以上に成熟した心と、無邪気さも見せる一方、時折あらわにする弱さ。自身の頭に銃を突きつけ涙ながらに言う。「私がほしいのは愛か死よ!」と。これまでの辛い人生ゆえ、心からの訴えだ。そのようなとき、彼はしっかりと彼女を受け止める。

▼スタンスフィールドは人殺し好きの狂人だ。謎のカプセル錠剤を愛飲し、目を血走らせながらハイになる。一見何を考えているのかが分からない雰囲気が、実に不気味だ。生きたいと思うやつを殺すのが面白いなどと抜かすコイツには、キツい一発でお灸を据えてやるしかないだろう。

▼作中終盤、スタンスフィールドは、レオンとマチルダに命を狙われていると知り、2人を殺そうとする。彼らの家を武装警官200人で取り囲み、弾丸の雨をふらす。レオンはマチルダを守るため、懸命に抵抗。排気口から彼女を先に逃し、別の場所で落ち合う約束をする。この危機を脱した後、街を出て一緒に幸せに暮らすことを2人は誓い、別れる。

▼深手を負いながらも、現場から何とか脱出を試みるレオン。薄暗い建物の通路から光差す出口へと歩みを進める。それはまるで、彼のこれまでの空虚な人生と、マチルダと暮らす未来への期待を対比し、暗示しているかのようだった。穏やかな表情を浮かべるレオンだったが、背後には、待ち伏せていたスタンスフィールドの姿があった…。

▼殺し屋としてのレオンの暗殺シーンが、しっかり描かれているのは冒頭のみ。ガンアクションはラストで展開されるが、作品全体を通してあまり多くない。レオンとマチルダのやり取りがストーリーの軸となっている。

▼マチルダからレオンへの愛情が、恋愛的な意味であった点に個人的に違和感があった。2人は親子ほどに歳が離れており、外見的にも大人の男と幼い少女でしっくりこない。親子愛的な形の演出のほうが自然でよかった。
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