あらゆるジャンルの映画は、世の中に腐るほどある。実際その多くは、映画史の中で年月を経て腐ってしまっている。しかしこの映画は違う、と断言出来る。腐らない映画、すなわち名作・傑作と言われる映画は、模倣されるべきモデルとして映画史の中に輝き続ける。例えば、スパイ映画であれば『007』シリーズ、ホラーであれば『エクソシスト』や『SAW』、アクション映画であれば『ダイ・ハード』や『マッドマックス』、そして殺し屋ものの映画であれば、私はこの『レオン』を強く推したい。それほどまでに完成された映画だ。別にこの映画は、特別難しいストーリーであるわけでもなく、主人公が無敵のヒーローであるわけでもない。主人公のレオンは移民としてやってきて、殺し屋(劇中では「Cleaner」と言っていた)として反社会的な行為の数々を行ってきた、一般人からすれば、ただの怖いおじさんだろう。だがそこが良いのである。下手に使命感を持たせたりすると、かえって殺し屋として一流なのか疑問が生じる。そしてこの映画の最大の魅力は、レオンの健気さだろう。たった1人の女の子のために、狂っているとはいえ警察組織とたった1人で相対する、私だったら、とてもではないができるわけが無い。しかしレオンはそれをやってのけた。これこそ、この映画が模倣されるべきモデルとなりうる所以なんだ、と私は思う。
最後に、この映画には最高スコアをつけたかったが、社会的背景の描写に難があると感じられらため、このスコアをつけるに至った。しかし「名作映画を見てみたい！」という人で、社会的背景まで考察する人は、恐らく多くはないと思うので、ぜひともこのレビューを読んでいただけたら、この映画に触れてみてほしい。ちゃんと見れば泣けるし、エンディングが終わるまで余韻に浸ることが出来ることは保証できる。
