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レオン 完全版のmaiのレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
4.7
最高だった。一つ心残りなのは、映画館で見れないこと…これ、映画館で観れたらなぁと思いました。

レオンがマチルダとの関係を築く上で、人として大事な感情を得ていく話。

マチルダの父が麻薬取引に関わっていたために、家族全員を殺されてしまいます。しかし、彼女だけは偶然にも買い物に行っていたため助かりました。
彼女にとって、家族は忌み嫌うものでしたが、唯一弟だけは彼女にとっての救いでした。その弟までもを殺されてしまい、彼女はその弟の仇を討つことを決意します。その時に頼りにしたのが、匿ってもらっていた殺し屋のレオンです。彼は凄腕の殺し屋で、彼女の住むアパートの隣の部屋に住んでいました。
そこから、彼と彼女の奇妙な共同生活が始まります。最初はレオンも彼女をどこか疎ましく思っていたのですが、次第に2人は心を通わせていきます。さらに、マチルダにとっては家族すらいなくなった世界でたった1人の頼れる人でもあり、そこには恋を飛び越えた愛のような感情が芽生えつつありました(この感情は恋愛というよりか、親愛なる人に対する親しみのこもった愛だと思います)。
そんななか、彼女は仇を討つべき相手の居場所を知ります。そして、自宅を再度訪れた時に偶然にもその仇の姿を目にし、さらに弟の遺体の白線までも見つけます。
そのことが彼女を奮い立たせ、たった一人で敵地まで侵入するに至ります。しかし、まだまだ子供。あっという間に捕まってしまいます。その捕まった彼女を救いに来たのがレオンです。
二人は脱出したものの、顔を覚えられてしまったために(いつも掛けていた眼鏡と帽子は忘れてしまってました)自宅まで突き止められ、そこからマチルダを餌にどんどんと追い詰められていきます。
どうにかマチルダを逃すことに成功したレオンですが、その後は雄叫びをあげた瞬間に手榴弾を投げ込まれます。
そんな時彼がとったのは、敵である麻薬取締局の生き残りの兵士に見せかけて脱出するという行動でした。
なんとかその策で脱出したものの、肝心の仇にレオン自身であることがバレてしまい、背後から撃たれてしまいます。
しかし、ここで終わりではありません。なんと彼は自分の体に爆弾を数個くくりつけていたのでした…そして爆発とともにレオンとマチルダの仇である相手は死んでしまいます。
マチルダはレオンと約束した通り、行きつけのレストランに行きますが、彼は現れず店主からは同情されながらも煙たがられてしまいます。なんと言っても彼女は未だに命を狙われる対象に変わりはないのですから….。そして学校へと戻っていきます。
しかし彼女に悲観的な雰囲気は漂っていません。そして、レオンが大事にしていた植物を地面に植え付けるところで映画は終わりました。

最初から最後までテンポが良く、見ていて2時間を短く感じるくらいでした。
殺しの場面は緊張感が漂い、逆に二人の生活はいたって暖かな印象です。
マチルダとレオンが心を通わせて行く段階も、事細かに描かれずとも、少しずつお互いがお互いにとって大切な存在へとなっていく過程がちょっとしたエピソードとして(なりきりゲームや言葉少ない会話、読み書きを教える代わりに殺しを教わる場面…などなど)描かれることで、急な感じもなく自然でした。
そして、なんと言ってもこの映画の素晴らしさはストーリーもさることながら、登場人物たちの演技の完成度の高さだと思います。
レオンはカッコいいし可愛いし、ふとするとセクシーです。
マチルダは12歳の女の子として、あどけないところもあり、はっちゃけていたりもするのに、ふとした時に見せる影のある表情で観ている側をドキリとさせる魅力に満ち溢れています。
二人とも言葉の多くない役どころであるのに、その表情や目線、もしくは行動なんかでその時の感情を丁寧に演じているので、観ていて凄く自然で綺麗でした。

名作と知りながら手を出せていなかったのですが、これは観なきゃいけない映画の一つであると思います。ぜひぜひ手を伸ばせていない人にも観て欲しい一作です
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