ICHI

28日後...のICHIのレビュー・感想・評価

28日後...(2002年製作の映画)
3.0
とにかくグロい。
海外ものによくありそうなゾンビものって、こういう事なんだろうなと思った。

血で感染するのに登場人物がことごとく感染者を銃で乱射したり鉈で切りまくったり、出血大サービスみたいな殺し方を躊躇なくしていることに、やっぱり海外ものらしい“大らかさ”を感じざるを得なかった。

最初から最後まで緊張状態で、そういう意味ではグロいが画面から目を離せない吸引力を持った映画と言える。

音楽も、映像と共に観客を引っ張っていて素晴らしい。

少しずつ微妙に、セリーナの「感染者」を殺すことに対する気持ちが変わってゆく様子を、ジムやフランク・ハンナ親子との交流の場面で描いてゆく。その描き方が繊細で、それはジムとの会話に映される端々の表情の変化にも表れる。
 
その辺が、全体の世界観としてはありきたりなゾンビ映画なのに、いつの間にかしっかりとヒューマンドラマとして、生死の緊迫した中での愛や命の問題について考えさせられるという、ちょっと不思議な魅力を持った映画だと感じた。

キリアンマーフィーがとにかく魅力的。
彼の演じるジムの「hello?」という呼びかけが印象的で、物語の終始を統一している。

世界が突然変わって、独りになってしまったと感じても、諦めずに信じて生き抜くことの勇気、感動を少し与えられた気がした。

スコアは3だけど、内容としては印象的で、「キリアンマーフィーがhelloというシーンがよくあった映画」として、結構思い出せる作品だろうなと自分は感じた。

おそらくグロ自体が本来苦手で、その意味ではキリアンマーフィーが出ていたから奇跡的に観た映画であり、想像を絶するグロさで故に3なだけなので、逆にこのグロ映画を最後まで投げ出さずにここまで内容に魅力を持てたことは、自分としては少し奇跡に近い。


そういう心象面でのいい裏切りを鑑みれば、この映画の個人的なもう1つの評価は5である。
ICHI

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