けい

ブリキの太鼓のけいのネタバレレビュー・内容・結末

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

開始後数分で訪れる最初の衝撃的シーン。なんともおかしな映画だな、ファンタジー?コメディーなのか?と思いながら見始めた。

大人の醜さに失望し、3歳以降成長止めた少年オスカルの目線で物語は描かれている。
わずか3歳の子どものはずなのに、いや、産まれた瞬間から、オスカルは怖いほどに賢くて、不気味さが漂っていた。
ヒャ〜ッ!と叫ぶとガラスが割れるなどファンタジー要素もあったが、基本的には生々しくて不気味。大人の影が見え隠れする子どもの姿を見事演じ切ったオスカル役の少年が本当にすごいと思う。きっと彼以外ではこの映画は成り立たなかったんじゃないかな。幼い子どもなのに微妙に筋肉のついた体とか、それにあの目がとにかく印象的で…仕草や表情も…とても子どもが演じたとは思えない。
2人の父親?を多分故意に死に追いやりながらもそれを悲しむ場面もなんとも不気味で…

ウナギのシーンを代表に暗喩や隠喩が多く、とにかく解釈が難しい。ナチス政権下の社会情勢についても多分何かを意図しているのだろうとは思うのだが、なにぶん自分が勉強不足過ぎて解読できない…妊娠したマリアをハサミで殺そうとした?ところもよく分からなかったし…
オスカルが胎内からこちらを強い視線を投げかけ、産まれてくるシーンも不気味だったけど、特に妊娠した母親がひたすら魚を食べ続けるシーンは、ただ食べてるだけのはずなのに、生理的に気持ち悪くて、この作品の中でそこが1番吐き気を催した。

予想外だったのはラスト。まさかこんな綺麗?で前向きな終わり方をするとは思わなかったなあ。
けい

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