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海を飛ぶ夢のodyssのレビュー・感想・評価

海を飛ぶ夢(2004年製作の映画)
3.8
【テーマは重いが、展開は軽やかな佳作】

アレハンドロ・アメナーバル監督作品。スペイン映画。アカデミー賞外国語映画部門賞、ゴールデングローブ賞外国語映画部門賞などを受賞している。 

若い頃に崖から浅瀬に飛び込んで頭を打ち、首から下が不随となった主人公(ハビエル・バルデム)。二十数年間を兄夫婦の世話になって寝たきりの生活を送っていて、自ら尊厳死を望むがかなえられない。しかしその件で病気持ちの中年美人弁護士(ベレン・ルエダ)と知り合いになったのをきっかけに、展望が開けてくる・・・。 

重いテーマの作品ではあり、あまり筋書きの展開もなさそうなので、なんとなく行くのをためらっていたが、私の住む地方都市では2週間限定上映ということもあり、楽日にようやく見にいってみた。しかし、展開は軽やかで、ユーモアもあり、決して悲愴さや深刻さが強調されてはおらず、観客を飽きさせずに最後までもっていく手腕は相当なものだ。 自裁の結末でありながら、大げさにならず淡々として時間が進行し人間関係が展開していくなか、作中人物に素直に共鳴していくことが可能となっている。

客の入りも悪くなかったので、2週間限定は惜しい。 
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