久保田靖史

霧の旗の久保田靖史のレビュー・感想・評価

霧の旗(1965年製作の映画)
5.0
 素晴らしい満点映画です。山田洋次34歳で撮った唯一のサスペンス映画。兄の弁護を断った弁護士に対する、女性(倍賞千恵子)の理不尽な復讐劇です。
最初は悲劇の存在だった倍賞千恵子が、復讐の過程で悪役に変わって行く様子が見事に描かれてます。彼女の復讐は、社会の下層階級が上級階級へ行う物と捉えると、俄然彼女に感情移入したくなります。
 時折はっとするようなカメラワークも見られ、橋本忍の脚本、林光の流麗な音楽、充実の助演俳優陣。どれを取っても素晴らしい。映画を観る事の喜びを認識させてくれる作品でした。
 次は70年代の百恵友和版を観たいと思います。
久保田靖史

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