イチロヲ

バリ島珍道中のイチロヲのレビュー・感想・評価

バリ島珍道中(1952年製作の映画)
3.5
女癖の悪さが仇となりアメリカを追われた2人組のコメディアンが、バリ島の王女と共に冒険を繰り広げていく。40年代から50年代初頭にかけてパラマウントが展開していた、ドタバタ喜劇シリーズの第6弾。

20世紀を代表する歌手ビング・クロスビー、喜劇役者ボブ・ホープ、ヴァンプ女優ドロシー・ラムーアが共演する、古典的コメディ作品。観客に向かって話しかけて来たり、メタ発言をさらりと喋ったり、予測不能な掛け合いを楽しむ方向性になっている。

舞台となるバリ島の風景は、ブルーバックとセット撮影によるもの。エキゾチックな雰囲気作りを大事にしているが、観光向けのケチャやガムラン演奏がまだ実施されていない時代のため、リアリティのあるバリ芸術は登場しない。

壺の中から美女が飛び出してくる奇術と海底に眠る巨大イカの特撮、そして首狩族のシークエンスが、個人的ツボに入る。構成や演者の動き、乗りの良さは、完全にザ・ドリフターズのソレと同じ。今日におけるコメディ演出の原典に触れることができる。
イチロヲ

イチロヲ