プレコード・ハリウッドⅡ。原題は『働く女』。鄙から都会へ。インディアナ州からNYにやって来た姉妹の都市生活。金がないからチャリティー・アパートメント（女子寮）で窓の外から聴こえる音楽でダンスパーティー。結婚が幸福なゴール。人の良さそうな博士はフラれた腹いせに姉を馘首。姉も姉で遊び人のヤッピーに惚れ抜く。銃を使った脅迫まがいの結婚はどこまでも契約上の話。出勤初日で帰宅は門限12時ギリギリ。土砂降りで靴も濡れて、エレベーターは使えないから4階まで階段を使って初日の報告。あのしつこいまでの階段の会話が最高。顔の映らない電話交換手。初めは見分けのつかない2人のキャラクターが第四の壁を越えるようなカメラ目線のウィンクでどんどん分化していく。フォーチュンクッキーで運命は決まり、フラれたサックス奏者の彼の困惑した正面からのクローズアップで終わる。戸惑いました。感情の動きが粗雑で飲み込みにくいが、夜の街を歩きながら妹が姉を心配する余り抱擁してしまうシーンは感動してしまう。

すげー邦題と思ってたら中身も凄かった。クズ男に振り回されるバカ女達…ではなくバカ男を振り回す天然クズ女たちの動向に唖然。そんなオチでいいのか？！
4階までの階段を姉妹で毒づきながら上がっていくくだりがもうこの映画を全部説明してしまっている。

足への視線を示すショットの多用。
階段を上りながら交わされる姉妹の長い会話。
正直、内容にはあまり入り込めずドロシー・アーズナー作品でも抜きん出ているわけではないと思うが、寮の仲間達と姉の結婚パーティーにおける多幸感は特別なものがある。