レインウォッチャー

まだまだあぶない刑事のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

まだまだあぶない刑事(2005年製作の映画)
2.5
…そろそろちゃんと怒ってもいいズラ?

いや、まだだ。まだ早い。まだ『さらば~』それに『帰ってきた~』が残っているじゃあないか。ここからのまくり差しがあると信じるんだ。虚数を数えて落ち着くんだ。

時代はゼロ年代に移り、久々にハマに還ってきたらしいタカ&ユージ(舘ひろし&柴田恭兵)もグレーヘア混じりに。結局やってることはほぼ変わらないし、やっぱり浅野温子は一体何を言っているのか聞き取れず、お話は早々にさっぱり追えなくなるんだけれど、隠せない変化もある。

序盤から、活躍する若手コンビ(佐藤隆太&窪塚俊介)と対比するように、強調される2人の《老い》。まあこの要素は全然うまく回収も解決もされないんだけれど、奇しくも映画自体にも近い変化が見て取れるのだ。
アクションシーンとトレンディ感は減り、無茶な白昼の大立ち回りは鳴りを潜め、そして炎や爆発にはペラいCGが目立つ。過去の『あぶない刑事』そのものが遺物となったかのように、個性といえた要素が薄まってしまっているのだ。(※1)

月並みながら、時代は変わったんだなと実感せざるを得ない。バブルは遥か昔の神話となり、低空飛行のまま門をくぐった新世紀においては、2人のキザな台詞も行き場をなくして、どちらかといえばただのおふざけおじさんになっている。
というか、この時はそれくらいしか立ち位置が見つけられなかったのであろう。いつにも増して長ったらしく寒いコメディシーンを見ていると、湧き上がってくるのは苛立ちよりも不憫さだ。

しかし、ひとつわかったこともある。このダンディ鷹山&セクシー大下というキャラクターは、やはり彼らにしか演じられないということだ。
今作に出演している若手俳優たち(前述の二人を始め、一応ヒロイン役の原沙知絵など)がタカ&ユージと絡むとき、2人(特に舘ひろし)の持って回った演技のテンポ感に引きずられるとまったく格好がつかず、表情にも深みがない。やはり館&柴田には戦いの年季、画を持たせる艶があるのだと気付く。

ストーリー等よりも、何よりその存在感によって「まだまだあぶない」ことを証明していく…なんだかんだ、狙いは実現できているのかもしれなかった。

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※1:とはいえちゃんと車をひっくり返してるシーンもあるにはあって、思いのほか安心を覚える。
あと、たまに凝ってるアングルがあったりしてイラってする(理不尽)。