三峡ダム建設により水没する古都に訪れた、別れた妻子を探す男と音信不通の夫を探す女が描かれる。物語はあってないようなものだが、ショットが良すぎるから風景を眺めるだけで楽しい。どこまでも連なる山と大きな川、水没が決まっている土地のおんぼろ家屋に住み働く人々。あまりの雄大さに探してる人なんて見つからないように思えてくる。淡々と重苦しくリアルな物語の中に突如挿入されるめちゃくちゃフィクション。建物が飛んで行ったり、男たちが京劇の衣装を見に纏っていたり…いきなりそういう事をされると好きになってしまう。住んでいた場所が沈む事があるのだから不思議な事もなんでも起こり得るということだろうか。
ダム建設という国家の夢に沈んでいく人々の生活にどうしようもない悲しさが漂う。
