滝和也

バトル・ロワイアルの滝和也のレビュー・感想・評価

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
3.6
君ならどうする?と言う
問いが頭に浮かんだら…
この映画の勝ち…。
誰を殺したかなと考えたら
やっぱりこの映画の勝ち…。
不謹慎だと言っても…

「バトル・ロワイアル」

社会がうるさく、大人しくなり始めた邦画に突如現れた反逆者。そうそう…当然ながら…東映が配給。更に血の武闘を踊らせたら世界屈指の深作欣二が組み、共犯にビートたけしが入った。狂っていた様に見せた知能犯である会社と監督、そして俳優が揃った時…なんだこれは!悪魔的に上手い!作品が出来上がる…。

皆さんには殺し合いをやってもらいます…。突如拉致された、岩城学園中学3年F組の生徒たちは無人島の学校で目覚めた。兵士と1年の時の担任キタノが教壇で話し始めた。バトルロワイアル法で君たちは選ばれたのだと。3日間で殺し合い、最後に残ったものだけ助けようと。武器を渡され生徒達は島に散らばる。助け合うもの、殺しに行くモノ、自殺するもの…。戦いは始まった…。

深作欣二晩年のヒット作になり、社会問題となり、更に社会現象となって、数々の影響を残した名作です。邦画に興味薄でスルーしてましたが、昨今東映ブームが私にありまして、漸く見ました。

これ…もうプロットだけで勝ちですよね。このプロットで問題にならない訳が無い。ゆえに…馬鹿なマスコミがガンガン取り上げてくれるし、おばさま達が悪口を言う…。つまり若者が見てくれるってことなんですよ。映画界、いや邦画界が喉から手が出るほど欲しかった若年層が劇場に来るわけです。元々、東映はこの手法大好きですからね…岡田さんの頃から。仁義なき戦いや実録モノも批判され人が入った。2000年て今みたいに若年層含め邦画が入る時代じゃなかったですからね。深作欣二ともう1回計ったんですね。

確かに若者達に生きることの厳しさ、理不尽さを誇張して教えるみたいな話もありますが、そんなことより、監督や東映は間違いなく、「つまんねーからぶっ壊してやる!」って思ってる(笑)どんな死に方したら、おもしれぇかなとかしか考えてないはず。これやれば受けんだろ…。どうせ人間なんかこんなもんだみたいに…。それがエンターテイメントの鬼、深作欣二だし、東映だからね。勝手にそう思ってる。

たけしもエンタメに関しては…記者から何故こんな暴力的な作品を撮るのか?社会教育上良くないみたいな質問されて、返事で「じゃあ、お涙ちょうだいみたいな作品があふれてるけど何故世の中はよくならないの?」と返してる。あまりに秀逸だし、その通りだ。

冒頭に書いたけど、僕は考えた…。考えただけでやらないし、やれない(殺す側に回るのは丸わかりだ…。)。でも作品で思うことがあっただけで…その作品を覚えている可能性は高い。つまり、その段階で東映の勝ちだろう。中々そうなると負けないよね、この作品。それは後輩への深作欣二の最後っ屁みたいな気がする。気になんかしないで面白いと信じたものを撮りゃ良いんだよと。

追記…俳優さんたちは頑張ってるけど…やはり若い。弾着後の死に方なんかは東映の嘗ての大部屋さんには勝てない。ゆえに…暗くしてるシーンも多いのかな。まぁ、映ってたい大部屋さんたちは大げさ過ぎる気もしたかな(笑)でもそれが良くて。一番は柴崎ゾンビだけど…栗山千明と入れ替わっても今見ると良いかな。多分監督のお気には安藤政信だろうけど。藤原竜也は藤原竜也でした。こういう作品は似合う。芝居が舞台っぽいので大げさな方が良い。あと…山本さんは実は憑依系の役者だと思っていて…これは良い役だし…今は政治家に憑依してるので頑張ってほしいかなと。
滝和也

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