ヴぇる

オズの魔法使のヴぇるのレビュー・感想・評価

オズの魔法使(1939年製作の映画)
3.2
米国ではほとんどの人が初めて観た映画がこれと言っても過言ではない程有名な子供向け作品であり、全ての年代の子供心を惹き付けてやまない作品だ。
ただ、先に簡潔に言っておくがラストシーンはワーストで酷いものだ。これは後述する。

さて、今作は39年作だと言うのにカラーなのは驚きでしかないし、実際に色が着いた瞬間からのドロシーの顔には命が吹き込まれたように見えた。
セットも秀逸だ。今でこそ子供番組ではこのようなセットがほとんどを占めるがそのお手本であり原点とも言える色彩と美しさである。衣装もチャプター毎に心が躍る思いで視聴できた。
加えて楽曲に関しては議論の余地がない程素晴らしい。

当時としては最高傑作である。
これは間違いない。そして子供の頃に今作を見ればそのイメージと共に育ちずっとその評価は残る。つまりはノスタルジーな作品であり、ずっと変わらない。
何が言いたいかと言うと映画というのはその時の感情が非常に強く残る物で今作はその際たる物だ。子供時代から好きで宝物の様な作品なのは分かるが、私自身は初めての鑑賞なのでそういう意味ではそこまで響かなかった。

勿論リスペクトはするし、上記のように素晴らしい点はいくつもある。
が、チープで深みがないのは事実だ。無駄な国の説明は長いくせに人物描写が甘いために気持ちが乗らないのだ。音楽が素晴らしいので、それで無理矢理乗り切ってる感さえある。

さてラストシーンだか、これは夢オチと言われても仕方が無いだろう。納得出来るような説明はない上にどこで空想に耽ったのか話の前後があやふやでトトの一件がどうなったのかも謎が残ったままだ。
児童文学や子供向け39年の作品という言い訳はあるのだろうがそれでは今作の対象の子供を舐め腐っているという反論しか産まない。
旅を通じて得た勇気や心をトトを取り戻すために現実の世界で使うような描写があれば完璧に思えたが、、

素晴らしい作品なだけに最後までキッチリ描き切れていないのが非常に残念だ。

総評としては、偉大でリスペクト統べき映画であり、音楽、セット、色彩、撮影法これらは極上の作品である。
ラストシーンさえ上手く作られていれば4点代はあったが惜しいといった印象の映画だ。
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