スローターハウス154

オズの魔法使のスローターハウス154のレビュー・感想・評価

オズの魔法使(1939年製作の映画)
3.8
2020/9/9

小さいころに絵本で何度も何度も読み返した物語。
CGやVFXを用いた非の打ちどころのないリアルさを追求した画面より、こういう手作り感あふれる温かみあるもののほうがよりファンタジックに感じてしまうのはなぜなんだろう。
こうして実写で観ると、まさに夢か現実のはざまを見せられているようで、良い意味で具合の悪い時に見る夢のようでした。
現実世界ではセピア画面、オズの世界では色鮮やかな画面という演出。
彼女はどちらの世界を求めていたのか?
思うに、ドロシーは竜巻に飲み込まれて死にかけ、オズという「あの世」に逝きかけていたんじゃないかと思う。「あの世」の人々は彼女が望みさえすればこの世界にとどまることもできるし、現実世界に戻ることもできるというスタンス。ドロシーは育ててくれたおばさんに会いたいがために、夢の世界を捨て色あせた現実世界への帰還を迷いなく選ぶ。それほどおばさんを愛しているのかな。ああなんであの素晴らしい世界を捨ててこの辺鄙なカンザスでの人生を選んだんだろう、と後悔するんじゃないだろうか。いや、小娘がそこまでは考えてないかもしれないけど...。きっと、オズの世界での冒険で、知恵、心、勇気を得た彼女ならカンザスでの人生も虹色にすることができるのだろうと思う。