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コールド マウンテンのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

コールド マウンテン(2003年製作の映画)
3.3
チャールズ・フレイジャーの小説を「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ監督が、ニコール・キッドマンとジュード・ロウの主演で映画化。
南北戦争中に負傷し故郷を目指す脱走兵と、彼を待つ女性の3年間の軌跡を描いたラブ・ロマン。
音楽はガブリエル・ヤレド。
原題: Cold Mountain (2003、2時間34分、R-15指定)

南北戦争末期の1864年。
ヴァージニア州ピーターズバーグの包囲戦で重傷を負った南軍の兵士インマンは、恋人エイダに会いたい一心で軍を脱走し、3年振りに故郷のノースカロライナ州コールド・マウンテンに向かう。
一方、彼を待ち続けるエイダは、その間に愛する父を亡くし貧窮生活やさまざまな困難に直面していた…。

物語はインマンの負傷から3年前に遡りインマンとエイダの出会いと別れが描かれた後、2人のその後3年間の軌跡が交互に綴られ現在に繋がり、クライマックスへと向かう…。

~登場人物①主人公の2人~
・インマン(ジュード・ロウ):チェロキー族の土地だったコールド・マウンテン(アパラチア山脈の麓)で生まれ育った口数の少ない純朴な若者。
・エイダ(ニコール・キッドマン):父と一緒にサウスカロライナ州チャールストン("奴隷とコルセットの世界")からやってきた貞淑な女性。ピアノや刺繍などはできるが、実用的なことは教わらず、生活力は乏しい。

~登場人物②コールド・マウンテンに住んでいる(残っている)人たち~
・エイダの父、モンロー牧師(ドナルド・サザーランド):妻は病死し、結婚生活は22ヶ月だけ。男手一つでエイダを貴婦人に育てる。
・サリー(キャシー・ベイカー)と夫のエスコー・スワンガー(ジェームズ・ギャモン):2人で農場を営む。脱走兵の息子を匿う。
・ルビー(レネー・ゼルウィガー):流れ者。サリーの依頼で、一人では何も出来ないエイダを助け、生活を支える。2人は次第に友情を育んでいく。
・ルビーの父、スタブロッド・シューズ(ブレンダン・グリーソン):幼いルビーを山に置き去りにした過去を持つ。音楽と出会い改心したらしい。
・ジョージア(ジャック・ホワイト):スタブロッドの音楽仲間。
・パングル(イーサン・サプリー):スタブロッドの音楽仲間。バンジョー曳き。
・地主、ティーグ(レイ・ウィンストン):義勇隊の隊長。偏狭で残酷。

~登場人物③出兵後インマンと関わる人たち~
・オークリー(ルーカス・ブラック):インマンと一緒に出兵した同郷の10代の少年。
・ヴィジー牧師(フィリップ・シーモア・ホフマン):牧師とは名ばかり。身ごもらせた黒人女性を殺めようとする。女好き。
・渡し舟の女性(ジェナ・マローン)
・ジュニア(ジョヴァンニ・リビシ):酒浸り。戦争で残された女たちに囲まれて住む。
・セーラ(ナタリー・ポートマン):赤ん坊と2人暮らし。夫は生まれた子どもの顔を見ることなく戦死。
・北軍の兵士、バードルフ(キリアン・マーフィー):飢えに苦しみ、セーラの家を襲う。

「帰ってきて。それが私の願いです」
"Come back to me. It's my request."

「俺は堕落した。もう俺に善良さは残っていない。優しさも自ら撃ち殺したんだ」

"ウィリアム・バートラムの本と写真"
"サリーの井戸"
"103通のうちの3通"

2回会っただけだが、一度の口づけを胸に再会を願い続ける若い恋人たちの姿、一途な愛は純粋で美しい。
だが、純愛以上に注目すべき点は、過激化した義勇隊によって、脱走兵や匿った者たちが暴力で殺害されるなど、戦争の負の歴史が描かれていること。
そして、どんなことがあっても人は支え合うことで生きていけるし、生き残った若者たちは新たな時代の担い手となっていく。
役者では、レネー・ゼルウィガーが印象に残る。
なお、アメリカ南部のルーツ・ミュージックなど音楽も注目です。
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