クリーム

僕の大事なコレクションのクリームのレビュー・感想・評価

僕の大事なコレクション(2005年製作の映画)
4.0
実話ではありませんが、良い映画だと思います。ユダヤ系アメリカ人のジョナサンが祖母から渡された祖父と見知らぬ女性の写真。祖父のルーツを探るべくウクライナを訪れる。通訳を頼んだ個性的なアレックス、その祖父、祖父の犬と予想外の展開が待ち受ける旅へ。そして、見つけた真実を受け入れ、呑み込み、受け継いで行く。これがピリ辛ファンタジーで素敵な話でした。ラストも良かったです。





ネタバレ↓





ウクライナにおけるユダヤ人迫害の悲しい話が根底にあるので、ただのロードムービーではなく、緩急があり良いストーリーでした。ヒマワリ畑の中の一軒家にたどり着いてから、話がガラッと変わる。そこは、住民の殆どが殺された村トラキムブロドで、住んでいたのは、写真の女性の姉で、祖父の義姉、祖父は彼女の妹と結婚していて、ナチスによるユダヤ迫害から逃れる為に先に1人渡米し、1週間後に村が被害にあった。
生き残りの姉は、『1人暮らし?』の問いに『いいえ』と答え、『村の人達みんな』と沢山の箱の山を目配せして微笑む。このシーンがとても好き。
フィクションなので、そんな偶然ないでしょ?って箇所もあるけど、ファンタジーとして観て欲しい。辛いシーンもあります。だけど、孫達世代が、しっかり次の世代へ繋げて行く希望が、見える作品で凄く好きでした。


※ちょっと気になったので、第二次世界大戦下のウクライナ。1941年にドイツとソ連の開戦。ウクライナでは、スターリンの恐怖政治に怯えていたウクライナ人にとって、ドイツ軍がスターリンから解放してくれると思った人達もいたらしい。スターリンとヒトラーが両方いる。想像しただけで、絶望しかない背景でした。
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