はるな

東京画のはるなのレビュー・感想・評価

東京画(1985年製作の映画)
3.6
小津安二郎作品を20世紀の映画作品の“聖“とまで呼んで愛する、ヴィム・ヴェンダースが、小津安二郎作品で舞台となる東京に実際訪れ記録した作品。
外国人から見た東京を知れるので、そういう観点でも楽しめる。

この作品の中では、
①『東京物語』(1953年)時代
②ヴェンダースが実際東京に訪れた時(1983年)
③ 『パリ、テキサス』撮影後、②の映像を改めて視聴し編集した時(1985年)
の三つの時間軸が一つの映像に収まった形となっている。複数の時間の集合体として、『東京画』という作品の新たな時間軸が形成されてるという、映画ならではの面白い点。
この複数の時間の集合体という観点から生まれたのが、ヴェンダースの次回作『ベルリン・都市の詩』らしい。

ゴルフ場、パチンコ、竹の子族、ショーケースの食品の模倣品を作る工場...
それと共に、サックスとバスクラ(リードミスみたいなノイズ音混じり。不快。笑)の不穏なサウンドが流れる。誠にシュールな映像達。
ヴェンダースの目で見た東京は、高度経済成長期を迎え、西洋文化がたくさん取り入れられた東京。模倣を丁寧に行う日本人に呆れているというか。笑

それと裏腹に、笠さんや小津安二郎作品のカメラマンを行ってた方のインタビューから、小津安二郎の為人を浮き彫りにする。日常的な内容の作品に孕む、小津の徹底したこだわり。皆が語る小津さんが、男気溢れてて格好いい。
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