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現金に体を張れのSのレビュー・感想・評価

現金に体を張れ(1956年製作の映画)
4.0
スタンリー・キューブリック監督のハリウッド・デビュー作。

一滴の血も流すことなく、大金獲得のための犯罪計画を立案した主人公が破綻に至るさまを描いたフィルム・ノワールの1作。

刑務所から出所したばかりの札付き者ジョニー(スターリング・ヘイドン)が、競馬場の売上金を強奪しようと大胆な犯罪計画を立案。

競馬場の会計係、バーテンダー、悪徳警官、元レスラーなど、一癖も二癖もあるメンバーを仲間に引き入れて、のるかそるかの大勝負に打って出る。
物語を直線的に語るのではなく、時制を前後させながら描くノンリニアなストーリー展開は、クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』(92)にも影響を与えた。
ちなみに現金の読み方は「ゲンキン」ではなく、「ゲンナマ」である。

後のキューブリックの冷笑的な演出が既に顕著で、マンボをかける軽妙洒脱な殺害シーン。
空港で、犯人が現金を入れたトランク、それを嗅ぎつける小型犬が飼い主の手から離れて滑走路へ…見事なテンポによる結末への怒涛の展開はさすが。
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