アキラナウェイ

ミスタア・ロバーツのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ミスタア・ロバーツ(1955年製作の映画)
3.6
ミスターじゃなくて、"ミスタア"。
邦題に時代を感じる、1955年公開の作品。

大好きなジャック・レモン目当てで鑑賞。

第二次世界大戦真っ只中なのに、作品の空気感は至ってほのぼの。

海軍のオンボロ輸送艦、通称"バケツ号"を舞台に、専制君主的な艦長のしごきに耐える、副長のロバーツ(ヘンリー・フォンダ)と、乗組員達の日常を描く。

62人の乗組員達の厚き信頼を集める副長ロバーツ。ヘンリー・フォンダの、如何にも真面目な風貌が役にハマる。ヘンリー・フォンダって、相手の目を真っ直ぐ見据えて、その心の内まで見透かしているんじゃないかと思える眼差しが印象的。

仕事が出来ないくせに権力を振り翳す上司を持つとしんどいっていう話。

大きな声では言えないけど、僕も今まさにその状況で。ストレスMAX。取り敢えず、自分のシャッターはもう閉じてしまったので、目を合わさず、会話も最小限に抑えています。

終戦から10年。
間違えている事に対しては毅然とNOと言う事の大切さ。きっとアメリカも気付いたんだと思う。無能な上層部の判断により、尊い命が失われてしまった事。その犠牲の大きさに。

ジャック・レモンは、コメディ要員として大活躍。艦内を泡だらけにしちゃうシーンが最高ッッ!!

艦長に楯突くロバーツの行動に、何度も胸がすく気持ちになる。

だからこそ、ラストのオチには思わず手で口を覆ってしまって呟くよね。Oh,my god…。

乗組員より、ヤシの木を大切にする艦長。
そのヤシの木をジャック・レモン演じるパルバーが海にぶん投げちゃうのとか、本当に胸スカ。

そんなパルバーを主役とした、本作の続編「ミスタア・パルバー」があるらしいけど、主演はジャック・レモンからロバート・ウォーカー・Jrという俳優に交代してしまっているんだとか。

レモンが出ないなら、観ないかなぁ。

恐らく、海軍の全面協力があっての事だと思うが、甲板上のシーンは全て本物。見渡す限りの海の青さが美しい。

仕事の出来ない上司の元で働いている方、中間管理職として上からも下からも板挟みの方に特におススメ。