Fumi

ダークナイトのFumiのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.6
もう何度観ているか分からない。

「ザ・バットマン」を鑑賞後、もう一度この作品を確かめたくて再鑑賞。

二十代の自分が価値観を完璧に覆された、クリストファーノーランの最高傑作。

約14年たった今観てもこの作品の普遍性は変わらない。銀行強盗の最初のシークエンスでもう完全に心を掴まれる。どういう形であれ「自分の心を掴まれる」体験こそが実写映画の魅力だと思う。

そしてジョーカーが何度も私たち観客に向けてきた「本当の善悪とはなにか?」という問い。鑑賞中何度も考えさせられ、胸が詰まり、気がつけば自分自身がゴッサムの住民の気持ちになっていた。

そして、バットマンが最後に選んだ決断にこそ、人々の分断と社会の絶望の中の一筋の光を明確に感じる。

なんといっても、文字通り命がけで演じたヒースレジャーの唯一無二のジョーカーの凄み。彼ほど魅力的なヴィランは後にも先にも他には見当たらない。


目をつぶればすぐに思い出せる忘れられない数々のシーンは、自分が映画好きでよかったと心から思う瞬間がいくつもある。


いつの時代にも忘れてはならない社会の光と影、誰もが心の中に抱える善と悪、表面的にはわからない真実と嘘。

私たち人間社会が抱えている二面性をあくまでも「エンターテイメント」として誰にでも伝わる形で描き切ったこの作品がやはり私の中でのNo. 1バットマン作品。

自分のエゴや名声や賞賛よりも他者や街のために悪役になると決めたブルースウェインの生き様はエレガントにすらみえる。

自分はノーランに一生ついていくと改めて決めた。
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