雪

ダークナイトの雪のネタバレレビュー・内容・結末

ダークナイト(2008年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

たしかにジョーカーは魅力的。話す度に「傷の理由」がちがうところに狂気を感じる。剥げかけたメイクとざんばらで湿った髪もいい。
執事のアルフレッドが手紙を燃やす二面性も良かった。彼女の遺書だから絶対燃やしちゃダメでしょと思いつつ、ブルースの妄想のために火を点けるアルフレッドこそ、ブルースにとっての真の守護者だなと。

肝心の主人公は「The 少年憧れのヒーロー」全開。全面的に善人。
前作同様に全然葛藤しません。葛藤ってこうアンビバレントな感情に引き裂かれる苦しみだと思うんだけど、「憎まれるのは限界だからマスク脱ごうか」とか「街のために嘘つこう」とか、善人の健全な悩み。100%手を汚さない、ルール遵守の学級委員タイプ。挫折もしないし、エゴも欲望も欺瞞も1ミリもない。自分の犯した罪による痛みなど持ち合わせていない。平たくいうと底が浅い。

仲間もお友達も良い人オンパレード(前述の執事のみ唯一人間味があるかな)。
バットマンの嘘は感情がない(人のための嘘じゃない)ので、建前が先行してて感情移入できない。自分の実名も守るわけだし。
悪の街を舞台にしてるのに、まあ擦れてない物語で、世間はそんな綺麗事じゃ済まないぞと俯瞰してしまう。劇画ですからと言われればその通りなんだけど。このバットマン、純真無垢なヒーロー願望を充足させてくれるタイプ。

とにかく長く感じたが、前作より面白い。物語がイマイチ薄くとも面白く感じさせるハリウッドの魔法がかかってる。役者とかセットとか。
ジョーカーがすごいと噂のダークナイトライジングに期待を込めよう。

※他の方のレビューを読んで追記。
次作ジョーカー役はキャスティング変更されたんですね。知りませんでした。
高評価&深いというレビューが多くて、なんだか申し訳ない。
雪