kkkのk太郎

ダークナイトのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

『バットマン ビギンズ』に端を発するアメコミヒーロー映画『ダークナイト』トリロジーの第2作。

ゴッサムの街に突如として現れた謎の男「ジョーカー」とバットマンとの戦いが描かれる。

監督/脚本/製作/原案はクリストファー・ノーラン。

○キャスト
ブルース・ウェイン/バットマン…クリスチャン・ベール。
アルフレッド・ペニーワース…マイケル・ケイン。
ジム・ゴードン…ゲイリー・オールドマン。
ルーシャス・フォックス…モーガン・フリーマン。
ジョナサン・クレイン/スケアクロウ…キリアン・マーフィ。

新たなキャストとして、謎の怪人ジョーカーを演じるのは『ロード・オブ・ドッグタウン』『ブロークバック・マウンテン』のヒース・レジャー。ヒース・レジャーは本作の公開を待たずして亡くなってしまったが、ジョーカーを熱演したことにより、死後オスカー像を獲得した。
ゴッサム・シティの地方検事、ハービー・デントを演じるのは『エリン・ブロコビッチ』『幸せのレシピ』のアーロン・エッカート。

音楽はハンス・ジマー。

👑受賞歴👑
第81回 アカデミー賞…助演男優賞(レジャー)、音響編集賞!✨
第66回 ゴールデングローブ賞…助演男優賞(レジャー)!
第4回 オースティン映画批評家協会賞…作品賞!
第32回 日本アカデミー賞…最優秀外国作品賞!
第52回 ブルーリボン賞…外国映画賞!

『バットマンビギンズ』の続編なのだが、そのクオリティは正直比べ物にならないほどに向上(決して前作が悪い訳ではないが…)!
その要因は何か…?そんなものは言うまでもなく、ヒース・レジャーの演じる〈犯罪界の道化王子〉ことジョーカーが存在しているからである!

ジョーカーは本作のメイン・ヴィランであるが実はスクリーンに登場している時間はそんなに長くない。150分の上映時間に対して30分くらいだと思う。

それにも拘らず、この映画のインプレッションの全てを持っていってしまう程の圧倒的なパワーを持っている。
彼の前では、バットマンもトゥーフェイスも、しれっと配役が変わっているヒロインのレイチェルも脇役と言って良いと思う。

誰もが口を揃えて言うことだが、これは自分も言わせてもらいたい。ヒース・レジャーの演技、ヤバすぎるっ!💥💥💥
喋り方から姿勢、仕草、目線まで完璧にジョーカーを演じ切っており、この役に取り憑かれたことが彼の死を招いたという都市伝説じみた通説も信憑性を持つほどの恐ろしさ、異様さを放っている。

ジョーカーは常に人間の本質を問い詰める。彼は欺瞞に満ちた文明を許さない。彼の愛するものは人間の心の奥底に眠るケイオスと悪趣味なジョークだけ。

だからこそ彼はバットマンを愛してやまない。
自らと同じく暴力にまみれた狂気と、コウモリのコスチュームに身を包むという悪趣味なジョークを持ち合わせている存在だからだ。

恐怖により悪を滅しようとするバッツ。恐怖により人間の本質をあらわにしようとするジョーカー。
ベクトルは正反対だが、「恐怖」を用いることにより自らの野望を達成しようとする姿勢は共通している。
彼らは正に表裏一体、全く同じデザインが施されたコインの様なものなのだ。

この2人の関係を暗示する様に、両表のコインにより運命を決めるトゥーフェイスことハービー・デントをシナリオに組み込んでいる所が恐ろしく上手い!
完全にジョーカーに喰われて、影が薄くなってしまったトゥーフェイスだが、この映画にとって絶対に必要なキャラクターですね!
…まぁもうちょっと悪役としての活躍があっても良いとは思うけど。彼は5人殺したらしいけど、どれだけ数えても4人までしかわからない。あと1人は誰?

シリーズを通してのヒロインが殺されるという、普通ならトラウマものの衝撃がもたらされるのだが、そんなことどうでも良くなる程にジョーカーの策略が鮮やかすぎる。
極悪非道で悪趣味な計画を成し遂げた彼が、車の窓から身を乗り出し気持ち良さそうに風を浴びるシーンでの爽快感は一体なんなのだろう。
金や名誉には目もくれず、自分の信念を貫き通す希代の悪党に少なからず憧れを抱いてしまうからだろうか?

全ては彼の掌の中で起こる出来事だったのだが、最後の最後で人間の良心が彼の策略を打ち破る。
ここでのヒースの演技の巧さが凄い!自分の計画が失敗したと分かった瞬間に、凄く小物っぽくなる。
あの大胆不敵だったジョーカーの格が落ちることで、バッツにボコボコにされたわけでもないのにも拘らず、ジョーカーの完全敗北が観客に伝わる。ここの演技&演出の巧さが素晴らしいのです!

香港パートの退屈さとか、前作同様アクションシーンの撮り方があまり上手くないとか、犬にやられるバッツが情けないとか、多少の傷はあるもののそんなことはどうでも良くなるほどの魅力がこの映画にはある!

名著「キリングジョーク」に寄せられた、アーティストであるティム・セイルの言葉を借りるなら、

「いくらなんでもクールすぎるぜ、だろ?」
kkkのk太郎

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