キットカットガール

汚名のキットカットガールのネタバレレビュー・内容・結末

汚名(1946年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

大好きなケーリーとヒッチコックのタッグという事で期待しすぎてしまったらしい。個人的には「え、これでおしまい?」と中途半端で若干消化不良な結びに少々がっかりしてしまった。勿論、バーグマン演じるアリシアの潜入シーンには終始緊張し、ヒッチコックのサスペンス・マジックに今回もやられてしまった。そして、じわじわとアリシアをコーヒーで毒していくセバスチャン母子(思わず『シックス・センス』を想起した)にぞっとしたり、1946年公開時にアメリカで流行していた「ビクトリーロールズ(髪型)」を映像で見られて嬉しかった(因みに、パーティシーンのバーグマンの髪型)。映画を介して当時の流行を学ぶのは面白い。また、印象的なカメラワーク/ショットもお気に入り。

本当は互いに求めて、愛し合っているのにもかかわらず、デヴリンが素直になれない事からすれ違っていく。公私混合を懸念する気持ちも分かるが、それでも事を始めたのは彼自身であるが故に、短絡的に「素直になれない男」とここで彼を片付けてしまいたくはない。正直なところ、いくらマザコン寄りとはいえ、デヴリンよりもセバスチャンの方がアリシアを幸せにできるのではないかと思案してしまったくらい...。彼は悪人だが、不思議な事にデヴリンよりも「悪者」には見えない(あくまでも個人的な感想)。ひょっとすると、これがミソなのかもしれない...。

メモ:

【ヒッチコックのカメオ】
セバスチャン宅で行われたパーティにて、バーグマンとケーリーが来る直前にサーバーからシャンパンをもらう男。

✴︎プロダクションコードによって(一回の)キスシーンは3秒以内と定められていた為、本作では3秒のキスを複数回行い、計2分半のキスシーンを成立させている。