Shiori

つみきのいえのShioriのレビュー・感想・評価

つみきのいえ(2008年製作の映画)
3.6
12分間とは思えない物語性と世界観.

水面が上昇し続け、その度に積み木のように家を建て直してゆくというこの発想は、すごい斬新だなって思った. それに、地球温暖化に対する警告も含まれてるような気がするし、何よりも"積み木"の感覚が人生と重なる感じがした.

"積み木"のように、私達も人生を重ねていってるんだよなあ. 色んなステップがあって、その度に新しい積み木を積み上げて、、、 幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、そして社会人っていう様に、わかりやすいステージではあるけど、一区切りごとに上に上がってくんだよね. そこにはそれぞれの思い出があって、どのステージもかけがえない大切な一瞬がある. その感覚が、積み木の家とめちゃくちゃ重なって、しかも最近大学を卒業した今だからすごく心にくるものがあった. しかも、次の家を積み上げるために増築するように、私達も次のステージに行くためにちゃんと準備をする. なんか凄く納得しちゃったんだよね. それに思い出が古くなる感覚も.

でも、あのおじいちゃんは凄く悲しそうで、過去にしがみついてる感じもしたんだよなあ. 確かにかけがえのない思い出がたくさんあって、今は1人という寂しさがあるのはわかるんだけど、もう少し前向きな姿勢でもいいんじゃないかなって思った. この作品の中での家は、積み上げる度に小さくなっていくけど、自分の人生ではどんどん大きな積み木を積み上げていきたいな. だって、悲しいじゃんね、どんどん小さくなってたら. まあ大きくしていったら、バランス的に難しいかもしれないけどね(笑)

思い出は大切だけど、それに引っ張られちゃだめな気がするの. 素敵な思い出があるから今の自分がいる、そーゆー感覚で思い出と共に前に進み続けるのが理想だなあって最近思うんだ. 自分が生きられるのは"いま"という時しかないからね. いまここ!なんだよ.

にしても、やっぱ12分でこんなにも考えさせられる作品を作り上げたのはすごいなあ. 音楽と絵のタッチがこの作品の世界観を上手く表現してて、なおかつ台詞がないのもよかった◎
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