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ハッシュ!のkoheiのレビュー・感想・評価

ハッシュ!(2001年製作の映画)
4.5
22.02.23再見

この映画をいいと思った過去の自分、最高。多用される長回しがすべてばちばちに決まっててすごい。超現実的な映画じゃないか。ファンタジーに思えてしまうならこの世界が悪い。

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《可能性ってあるじゃん?》

filmarksにおいて橋口亮輔監督作品は軒並み評価が高い。中でも『恋人たち』は去年話題になっていたのでそちらを見ようと思い、その前にちょっと予習。先日見た『ぐるりのこと。』の前作にあたる。


自分がゲイであることを隠して生きる勝裕(田辺誠一)と、ペットショップで働く直也(高橋和也)は付き合い始めて間もないゲイカップル。
ある日、雨の蕎麦屋で傘を貸した事がきっかけで、2人は朝子(片岡礼子)と出会い、朝子が勝裕に精子の提供を求めることで3人の奇妙な関係が始まる。
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ゲイカップルが主役の映画だと知って少し身構えたのだが、LGBTの問題を取り上げる作品ではなく、どこにでもあるような"自由を求める人たち"を描いた映画だった。映画の中の人たちが幸せを掴むのを見て、見てるこちら側も幸せになれるようなほっこりする映画。

「常識にとらわれない可能性のあり方」が主なテーマかな。非常識と言われるようなマイノリティの人間が、可能性を見出していく姿に感動する。ラストシーンなんか未来について何にも考えていないようだけど、幸せの可能性が溢れ出す瞬間である。常識を振り翳す人間をなだめる(=hush)お話だった。

橋口監督は、短い会話を通して人物の関係性や性格を表すのがすごくうまい。コメディちっくな会話劇に引き込まれているうちに、人物紹介がさらっと成されている。凄い。あとはやっぱり長回しも良い。リビングでのあのシーンを境に緊張感が増し、物語の推進力になっていた。
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