kohei

すべての夜を思いだすのkoheiのレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
4.9
ユーロスペースの問題の渦中で見てきた。以前PFFで見たのは2022年9月だったと知って思ったより前で驚く。そのときは盛大に寝てしまったのだけど、2回目はめちゃくちゃ面白かった。めちゃくちゃ最高な映画。心を落ち着かせたりドキドキしたり、終盤には踊りたくなる。多摩ニュータウンを舞台にした小さなスケールの映画だけどめちゃくちゃ大きく見えるのがとても不思議。ぜんぜん別の土地だけどニュータウン育ちとしては子供のころに頭に思い描いた壮大な街の姿がクロスオーバーしていたのだと思う。散歩と痕跡の映画。人がとにかく「歩き」、この映画が随所に残していく「痕跡」のようなものには、どこか子供心を思い起こさせる原初的な快感や恐怖が眠ってるように思う。カメラワークの押し引きが凄まじく、映像の奥行きがすごい。団地のまわりには緑もたくさんあって、色に癒されもした。3人の主人公が三者三様の魅力を見せているのもかなりいい。こういう本当にすごくいい映画とそのつくり手がどうか社会の圧に押し潰されないでほしいと願う。
kohei

kohei