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士魂魔道 大龍巻のmitakosamaのレビュー・感想・評価

士魂魔道 大龍巻(1964年製作の映画)
3.2
タイトルの大竜巻は置いといて、サブタイトルの「士魂魔道」のイメージでどんな山田風太郎かと思ったわ。そんなファンタジー忍術合戦ではなく、いたって地に足のついた時代劇。

監督は稲垣浩。大坂夏の陣から物語が始まる。同じ稲垣作品の「大阪城物語」が大坂夏の陣までを描く話なので、続編とも扱われるけど話の続きじゃない。

主演は6代目染五郎。いまの松本幸四郎。松たか子パピィ。夏の陣で負け戦になり切腹をしようとしていた所に、小里(星由里子)が秀頼の子国松を連れて逃げるのを助ける事から話が始まる。
かなり爽やか青春活劇な感じ。先代染五郎は、やはり同じ稲垣作品の「秘剣」のイメージが強かったので、この染五郎はちょっと変な感じ。

他に商人に鞍替えするのが夏木陽介、辻斬りになる佐藤允、女忍者の水野久美、明石守重に三船敏郎。

星由里子と水野久美がツンからデレに変わり主人公に恋するなんてのは、昨今のラノベの様じゃないか。

それに豊臣残党が計略を巡らし、徳川が裏で暗躍する。
これらが一つに合わさっていく物語、と言うと、凄い面白そうだが…

後半はちょっと話に無理があるような感じ。
話の辻褄の為に、各キャラの行動に説得力が無いなぁ。

全体的には痛快娯楽映画なんだが、一方で「戦に翻弄されるのは何時も女」だという描写も多い。久我美子演じる菊里が侍女から夜伽に落ちるなどの描写もある。

豊臣残党が御用金を略奪しようとして、最後は人間の業を全て吹き飛ばされてしまう大竜巻に幕引きされる。
タイトルにある大竜巻だけど、もう少し長尺で見たかったかな。一番の山場になるはずだけど、ちょっと物足りなさは感じた。

特撮は大阪城物語の流用も多いが、いつくか見所もある。金屏風の部屋に火を放つシーンの大セットは素晴らしいね。

細かいところに突っ込まなければ面白いが、ちょっとツッコミたくもなるな。
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