キヲシ

丹下左膳のキヲシのレビュー・感想・評価

丹下左膳(1958年製作の映画)
3.5
ドーンと横長、東映スコープの娯楽大作という感じ。大友柳太郎の丹下左膳は山中貞夫版の明るい流れを継ぐ。ヒロイン萩乃役の美空ひばりが劇中で三、四曲ほど披露。その若侍姿には悪役丹波(山形勲)が思わず迫ってしまうほど。冒頭の廊下の場面でスコープを堪能、大岡越前(月形龍之介)と公義隠密(薄田研二)の小芝居からの金魚クジ(なんだそれ!)が結構な長尺、まあ面白いけど。壺を持って道場に乗り込む左膳に対峙するのは植木屋に扮した柳生源三郎(大川橋蔵)。で、仲良くなる。山中版左膳の大河内傳次郎が隠密蒲生タイケン役であちこち顔を出す。感心しきりの名代(左卜全)、人はいいけど頼りない柳生藩主(三島雅夫)、左膳が気になりいつも不機嫌な師匠お藤(長谷川祐見子)、与吉(多々良純)とお美代(櫻町弘子)のパントマイムがかわいい。「鼻の下、こーんなに伸ばして…」と突っ込むちょび安(松島トモ子)と萩乃がさらわれ、風雲急を告げると実際、画面にイナズマが走る。薬をもられて伏せたはずの源三郎がハハハと立ち上がる…が、という展開でクライマックスをひっぱる。最後は、やっぱりの嬉し涙でい。
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