鷲尾翼

ベルリン・天使の詩の鷲尾翼のレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#331

【まとめ】
* シリアスとピュアのバランス
* ピーター・フォックス
* 歴史的な人間観察ドラマ

本作での世界観は「天使側」と「人間側」で描き方が違う。

人間たちを見守る天使側の目線は、モノクロで人々の心の声が聞こえてくる。しかし、人間のように温度や痛み、味や匂いなどを感じない。前半ではこの天使側の目線で社会のシリアスな部分を描いている。

一方我々人間側の目線は、色鮮やかな世界で、天使たちは感じることが出来なかった感覚を当たり前のように感じる。物語の後半、あるきっかけでこの人間側の世界観をピュアなリアクションとともに描いている。全体を通して、シリアルとピュアのバランスがGOOD!

本作で重要な人物として「刑事コロンボ」で有名な俳優、ピーターフォックスが本人役で登場する。ピーター・フォックス自体が紳士的で大人のかっこよさが漂う魅力的な人なのに、セリフもかっこいい!

本作でのベルリンはまだベルリンの壁が崩壊していない1987年の姿。我々が目にするベルリンの姿はすでに壁が崩壊された後の現在、もしくは壁が崩壊する瞬間を教科書で知るぐらい。

本作はベルリンの貴重な姿を映している歴史的資料でもある。
鷲尾翼

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