kazco

ベルリン・天使の詩のkazcoのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
3.9
前半パート、市民のモノローグが特にネガティブなことを話してるわけではないんだけどモノクロのせいかどの人達の心情もとても陰鬱な印象に映る。

良かったのは天使が地球創生から地球を見てきて生きてきて、今見ている人達も歴史の一部でしかないとわかった上で、その中の1人の女性に恋をして地上に降り立つってのはロマンチック。
後半は地上に降りたことで、初めて色を認識したり、先に降りてきていた天使がいたり、ニックケイヴの死ぬほどカッコいいライブがあったり、前向きな映画に仕上がってる。
最後にかつての天使たちとして小津安二郎の名前が出てきたことで、その時代の人々の語り部として映画を撮った映画監督を天使になぞらえてるのは面白い。
そう見るとヴェンダースが意識的に建物や街、現在の広場をカメラに納めていたこともわかる。
もっと深読みできるんだろうけど、俺には理解できなかった。

未公開映像で天使の不可視性を利用して、街中の人の行動を真似するシーンがあるんだけど、なんかそういうコメディ要素もっと欲しかったな、と素人ながらに思った。
kazco

kazco