垂直落下式サミング

エルム街の悪夢5/ザ・ドリームチャイルドの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
前作でアリスに倒されたフレディが復活し、彼女が身籠った赤ん坊の夢の中に侵入することで、体を乗っ取って生まれ変わることを企む。やがてアリスはフレディの野望に気付き、我が子を守るため、戦いに終止符を打つべくフレディに立ち向かう。人気ホラーシリーズの第五作目。
このシリーズの難点は、前作で倒されたフレディを復活させるのに、前半の20分ほども尺を使ってしまうことと、前回の惨劇を生き残った人たちがマッチポンプ的に死んでいくこと。
メインキャラクターが代替わりしていくのはいいのだが、脇役はあまりにもあっさりと殺されるので、私のように再登場した前回のキャラクターに強く思い入れを持ってみていると、ひどく気落ちしてしまう恐れがある。
本作も例によって、悪霊との直接対決を挑み悪夢の根元に打ち勝つわけだが、主役のフレディ自体がかなりふざけた様子で演じているため、こんなに人死にを描くホラーである必要はないだろうと言いたくなるような、歪なバランスの作品になってしまっている。
ヤコブは、まだ胎児のはずなのに小学校低学年くらいの見た目をしている理屈がよくわからないし、言っちゃ悪いがあんま可愛くない。
三作目で出てきたフレディの母親が亡霊となってまた登場し、主人公に危機を知らせるが、今になってフレディの血縁者がしゃしゃってくるのは、子供の揉め事に親が出てきちゃう感じで、なんかみっともない気がする。
特殊効果については、水着の女性が闇のなかに落ちていくシーン、時空がねじれたような階段など、悪夢的なヴィジュアルに進化がみられるものの、今回の殺人シーンは、バイクもマンガも派手なばかりで好きじゃない。
ただ、スタイルを維持するために母親から食事の量を制限されている女の子が、フレディにめちゃくちゃメシを食わされて殺される場面は、若者が自らのトラウマやストレスの対象に飲み込まれていくエルム街シリーズらしい意地悪なイメージで気に入った。いっぱい食べる君が好き。