SANKOU

エイリアンのSANKOUのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン(1979年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

非常に静かな映画だと思った。エイリアンが人に襲いかかる瞬間、極限まで高まった緊張が解放される瞬間だけ静寂は大きく打ち破られる。
H.R.ギーガーのデザインするエイリアンは邪悪そのものだが、まさに完全生物と言われるにふさわさい佇まいをしている。
ノストロモ号が謎の電波を辿って着いた先の惑星で発見した宇宙船のフォルムもどこか崇高な感じがする。
まるで神殿のような宇宙船の内部、腹部が内部から破裂し既に化石化した異星人の姿、そしてレーザーの靄の中に無数に並べられた何かの卵。その全てが何か神話の一部分を覗いているような神々しさを感じさせる。
この作品が正体不明のエイリアンが襲いかかる恐怖映画の域に留まっていないのは、この神々しさがあるからだと思われる。
実は貨物船として地球に帰還予定だったノストロモ号には、秘密裏に異星人を持ち帰るという指令が出されており、謎の電波の正体を探るために惑星に向かうことになる。
そのために乗組員はエイリアンの犠牲になってしまう。化学部長として就任したアッシュは実はアンドロイドで、乗組員の安全は二の次で彼らをわざと危険な任務に当たらせようとした。
後から考えると不自然と思われる彼の行動の理由も後から明らかになっていく。
エイリアンも恐ろしいが、人間の邪な考えこそ最も恐ろしいものだともいえる内容だった。
乗組員が次々と殺されていく中で、一人残されたリプリーが恐怖の中でエイリアンと対峙するシーンは息が詰まるような緊張感があった。
決して派手な作品ではないが、じわじわと身体に染み込むような恐怖が忘れられない。
逃げ出したエイリアンが驚くほど成長して、頭上から乗組員に襲いかかるシーンは思わずため息が出るほど素晴らしかった。
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