中途半端に原作にとらわれて面白味が薄かった高倉健バージョンに比べて、千葉真一主演で作られた本作はさいとう・たかをのテイストと東映のジャンク風味が程よく溶け合い見せ場も多くて楽しめる。香港が舞台でアジア人が多めのため、日本人の千葉が浮いていないのもすんなりと映画の世界に入り込める要因に。フラーやシーゲルのような超スピーディーな語り口も漫画を読んでいるリズムに似ていて◎。
でもあの独特な眉メイクによるサニー千葉のゴルゴ13アプローチはなんとかならなかったのか、ああでもしなきゃ高倉健と対抗できないのはわかるけどちょっと笑ってしまう。あと銃撃戦より格闘アクションが多めなのも千葉らしい。
志穂美悦子が序盤活躍していると思ったら、すぐに退場してしまうのが惜しい(JAC仕込みのジャンプが綺麗)。あと吹き替え担当がベテラン声優ばかりなので洋画を見ているような安心感が、特に大塚パパ(海原雄山やねずみ男で有名)の声は子守唄のように落ち着くな。
ラストの崖に本当によじ登り宙吊り状態になって銃を撃つ千葉真一の熱演も見所。