似太郎

ミンボーの女の似太郎のレビュー・感想・評価

ミンボーの女(1992年製作の映画)
4.3
宮本信子演じる民事介入暴力専門の「ミンボーの女」がホテル・ヨーロッパを反社会勢力から護衛する姿を描いたコメディ。伊丹十三らしくごちゃついた画面構成と当時の不細工な日本人の顔面どアップが印象に残る。(笑)

台詞がやたら多くカット割でぎゅうぎゅう詰めなのだが、ハイボルテージな演出で長尺を一気見できる社会派エンターテイメントの秀作になっている。ヤクザ役の伊東四郎がイイ味。

本多俊之によるお洒落なスコアもいいし、日活ロマンポルノ出身の前田米造のカメラも効果的で、総じてバランスが良く「誰もが恐れるタブーに挑戦」する伊丹十三の反骨精神を買う。

本作はあくまで組(ホテル側)と組(ヤクザ側)との抗争劇であって、日本のイビツな社会構造を抉り取る伊丹十三らしいインテリジェントな作風は今観ても遜色がない。ちょっとエッチで下劣な表現もあるが、そこは目を瞑ろう。
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