ミンボーの女の作品情報・感想・評価

「ミンボーの女」に投稿された感想・評価

Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.0
「ミンボーの女」

冒頭、ここはホテル・ヨーロッパ。プールサイドにての啖呵。ヤクザの入れ墨、二人の担当者、接客、ゴキブリ、詫び状、血尿、女性弁護士、撃退マニュアル、罠、街宣車、決断、不作為の仮処分、鉄砲玉。今、戦うホテルマンと卒業までを描く…本作は平成四年に東宝配給で、伊丹十三が監督、脚本を務め遂にタブーであったヤクザの民事介入暴力をテーマとした作品を宮本信子主演で作った映画で、この度BDにて再鑑賞したが非常に面白い。公開二ヶ月前に暴力団対策法が施行されており、世間の注目を浴びて大ヒットを記録した傑作である。ロケ地のーつは長崎県のハウステンボスのホテルヨーロッパでとられており、伊東四朗の高所恐怖症がサングラスでカバーされていることがわかる。この作品は当時襲撃事件にあっており、宣伝映像の伊丹十三が刺青を背中にメイクして登場し、伊丹式ヤクザ映画を標榜し、映画監督の五社英雄が伊丹十三にヤクザの世界を知らなさすぎておっかない人だと言わしめて、必ずこの作品が公開されたらヤクザの事件が起こると暗示していたそうだ。

実際に事件は起き、国内公開直後の五月に伊丹は自宅近くで刃物を持った後藤組の五人に襲撃されてしまって、顔などに全治三ヶ月の重傷を負うも、私はくじけないと映画で自由を貫くと伊丹は宣言したそうだ。翌一九九三年五月に次作映画「大病人」が公開されている映画館で、上映中に暴力団組員がスクリーンを切り裂く嫌がらせが発生していたのも有名な話だろう。さてタイトルのミンボーと言うのは漢字で言うと民暴と書くのだが、意味合いとしては民事介入暴力の略語である。この言葉はもともと一九七九年警察庁によって作られた警察用語で、簡単に言うとヤクザが一般市民の民事的紛争に当事者として介入し、暴力団の恐ろしさを背景に、不当な利益を得ようとすること…と言うことになる。現在ではヤクザだけに対象を限らず、制度は、社会運動標榜ゴロ、総会屋等の不法行為をも含めた広い概念として使われている。

そうすると普段からミンボーと言うのを聞きなれない人たちに関しては一体具体的にはどのようなものなのだろうかと言う謎がまず入ってくる。、たとえを言うと、借金の取り立てを暴力団が受けようとする。これはミンボーになり、逆に暴力団を頼んで借金取りを撃退する。これもミンボーになり、あるいは、自分が交通事故を起こしたとして、相手の代わりに暴力団が出てきて法外な金を要求された。これも貧乏になる。倒産の整理をヤクザが仕切るのもミンボーで、ヤクザが暴力や嫌がらせで賃借人を追い出すあの地上げ屋にもミンボーの代表的手口の一つになる。企業のスキャンダルをタネに企業を恐喝したり、社会運動や政治運動を仮装して、企業や自治体から賛助金をせしめたり、融資や契約を要求したりするのもミンボーの最近の傾向だろう。そう考えるとはるか昔のヤクザはカタギの衆には迷惑をかけないと言われいたはずなのに、今ではカタギの世界こそが彼らの資金源となってしまっている。

つまり、私もあなたも、明日にでもミンボーの被害者になるかもしれないと言うことが映画から伝わる。そのような危機感が我々をこの映画の制作に踏み切らせてしまったと伊丹十三は確か言っていたような気がする。本作の内容は簡単に言うとヤクザと企業の戦いを描いており、ヤクザに狙われた企業が、いかにしてヤクザと戦い、ついにこれを撃退したかと言うことになる。さて前振りはこの辺にして物語を語りたいと思う。さて、物語は東京の名門ホテル、ホテルヨーロッパは、サミットの開催をライバルホテルに奪われてしまう。理由はヤクザの跳梁を許している、ホテルヨーロッパの危機管理の甘さであった。二人の担当者が任命される。ー人は経理マンの鈴木で、もうー人はベルボーイの若杉である。二人はヤクザに怯えながら、おっかなびっくりでヤクザの排除に取り掛かるが、ずぶの素人の悲しさ、手もなくヤクザの術中に陥り、金をむしりとられてしまう。ホテルの中には二人を応援してくれる者とてなく、二人は孤独な戦いを強いられるが、不適切な対応を逆にヤクザを刺激する結果となり、事態はさらに悪化する。ホテルはたまりかねてミンボー専門の弁護士を雇って二人の指導に当たらせる。

女性弁護士、井上まひるが現れる。彼女はさすがミンボーのプロである。知識と経験と胆力にものを言わせて難事件を次々にさばいていく。しかしヤクザも負けていない。ホテルの総支配人を罠にかけて弱味を握り、それをタネにホテルそのものに揺さぶりをかけてくる。戦うべきか、降伏すべきか?降伏すれば多額の金をむしり取られる。戦えばスキャンダルは覚悟せねばならぬ。彼女はホテルの会長に、企業全体としての決断を迫る。会長の決断、そしてクライマックス。映画のラストでは、すっかり成長した二人と、今や企業全体で暴力団に立ち向かう体質に生まれ変わったホテルの姿がある…と簡単に説明するとこんな感じで、本作は企業ドラマであると同時にミンボー対策マニュアルの性格を兼ね備えていると思われる。具体的には、前半が間違った対応へ、後半が正しい対応として設計されていて、観客は映画を見ながらセキュリティー担当者としてゆく自分を体験することができるようになっている。

いゃ〜、この映画作るのにどれほど監督がインタビューをしたか想像できる。証券業界から始まり、銀行業界、建設業界、サービス業界などのセキュリティー担当者を集めて、マルボー担当刑事やミンボー専門の弁護士たちを対象に色々と聞いたんだと思われる。、そこから監督自身が煮詰めて脚本を完璧なものにしたんだと思われる。いゃ〜ホテルヨーロッパ側とヤクザ側の攻防戦がウケる。冒頭からガッツ石松演じるヤクザたちに対して宮本信子演じる女がヤクザの真似事をして追い払うのはマジで最高。あんなインパクトのあるファースト・シーンは伊丹映画では本作くらいだろう。あのプールの入れ墨してるお客様は立入禁止と言うのはタトゥーを入れている自分からしたらなんとももどかしいが…。そしてホテルのレストランで中尾彬演じるヤクザが部下にゴキブリをかませてラザニアの中に忍ばせて隣の女に叫ばせトラブルを起こす場面は笑える。てか中尾かなりヤクザ役のってるわ〜。もう冒頭のプールの場面とこのレストランのわずか数十分観ただけで、もうラストスパートまで目が離せなくなる。基本的に宮本演じる弁護士、井上まひると総支配人やフロントの弱々しい連中らとのやりとりがいちいち面白い。この映画に出てくるヤクザのやり口まじで汚いんだけど実際もこうなんだろうか。

伊東四朗演じるヤクザがキャバクラで女のドレスの胸をハサミで切っておっぱいを出すシーンはすごい印象的だった。あの右翼団体の街宣車のような旭日旗と日の丸を縛り付けた車でスピーカー使って嫌がらせする場面とかはナンセンスである。この作品見てると、企業っていうのはスキャンダルを恐れるので事件を表沙汰にしない、そこに暴力団が隙を見て悪さをすると言う構図が非常にうまくできている。この時代と言うのは暴力団の世界では統合化や広域化、企業化が進んでいたと思われ、従来の暴力団の体質がいわゆる任侠道と違いマフィア的な組織暴力団に変質していただなぁと思う。要するに金になることなら何でもやると言う形だ。そうすると彼らのターゲットはますます企業に向けられて、脅しやすい彼らが大きな金の木になると言うことだ。しかも企業の数は無数であると言うこともつながるだろう。暴力団の資金源としてはこれほどまでに魅力的な条件を兼ね備えているものはないと言うことだ。しかも企業側にも債権の取り立てや地上げのため安易と暴力団を利用したりすると言うのも原因のーつだろう。

今回の映画暴力団側のキャストがかなり的確で驚いた。なんとも画面いっぱいに生々しく漂わせる恐怖感を与えることに成功している。暴力団の下っ端では若き日の柳葉敏郎やガッツ石松などがいるし、幹部の方になると小松方正、中尾彬、伊東四朗と濃い面々がキャスティングされている。結局のところヤクザには毅然として対応し、不法な要求には応じず、相手の攻撃に対してあくまでも法の土俵の中で戦うと言う方針を会社として打ち出し、この方針を貫くことしかないんだなと思わされた。いくら揺すられても金を出したらアウトと言うことだ。金を払って解決したり、別のヤクザに頼んで始末をつけてもらったりすると、その事が更に新しい弱みになって、とことんヤクザに絞り取られるような構図なんだろう。ヤクザの不当な要求に対して会社の金を支出すると罪になる可能性もあるようだし。この映画で印象的だったのが登場人物が懲役なんて怖くねーと下っ端が言う場面である。ヤクザと言うのは懲役って言う言葉をよく使うのだろうか?そこら辺に長けていないためよくわからないけど、それとお礼参りっていうのは基本的にないんだなと言うこともわかった。とにもかくにもヤクザは相手が弱いと思ったら徹底的にやっつけようとするんだなと、どこかの国に似ているなと思った。

ところで、宮本信子のライオンカットは非常に似合っていて、アルマーニ系のファッションセンスも最高である。映画出るたんびに風貌を変える彼女ってものすごいなと思う。そして中尾彬のクローズアップの迫力と目玉の迫力はこの映画をより良いものにしている。それにヤクザ側の皆の声質がたまらなく良い。フロントマン役でほんの少ししか出てないから三宅裕司が若い。そんなこんなで民事介入暴力救済の書籍と言うのもたくさん出ているようなので、というかこの時代と今の時代では打って変わっていろんな手口があると思うのだが、とにもかくにも毅然とした態度が大事なんだなぁと言うことが本作には描かれていた。この映画は面白いのでまだ見てない方はお勧めする。
sagan5786

sagan5786の感想・評価

2.8
映画のクオリティー云々は別として、視点が好きじゃない。
伊丹十三氏はとても面白い人だと思うけど、何故思慮深く別の視点が持てなかったのだろうかと思ってしまった。
ん〜、無頼観た後だとどうも好きになれない。

面白かったんだけど好きになれない。

いや面白いんだけど。
mohedshot

mohedshotの感想・評価

4.0
当たり前だが、どの伊丹作品の宮本信子も本当に可愛いらしいと、つくづく思う。天下無双のマルサの査察官や、ミンボー弁護士、あげまん芸者。どれをやらせても宮本信子は全開の魅力を放ち、彼女自身が観る者をストーリーにグイグイと引き込む力そのものであるのは、伊丹作品を一度でも見たことが有るならば、誰しもが同意するところだろう。しかも、その彼女の強烈なキャラクターに呼応して、日々ヤクザからケチな恫喝を受ける気弱なホテルマン達が、わずかに少しずつ成長してゆく姿が感動的であり、特に気の弱い堅物経理の大地康夫が毅然としてゆく姿が素晴らしい。

終盤で柳葉の鉄砲玉ヤクザに襲われるアクシデントは全く洒落にならず、とは今更だが、しかし何度でも言いたくなる。伊東四郎と中尾彬のタチの悪さと凄みのある演技を見てると、あの頃の、子供だった自分が住むド田舎の繁華街ででさえも、何やらケチな因縁をふっかけて店員を怒鳴り散らしたり殴ったりする、とにかくギラつく腐った悪い大人たちのあの感じが甦る。あの頃すでに弱きを助けのロマンある任侠道なんぞ、とっくに無かったんだな。
脱税って何?という内容と、税務官と脱税者の間抜けな攻防。
伊丹監督作品は女性の裸体が登場するの多すぎでエグい。
ホテルと暴力団の戦い。
暴力団側にもこんなに色々な罠があるのかと感心させられた。ホテルマン達がどんどん対処方法を覚えて自信をつけていく様が良い。
暴力団の人たちはかなり反感買いそう、それでもしっかり映画化したのはさすが。
今まで観た中では一番好きな伊丹十三作品。
この公開の直後、伊丹十三は暴力団に襲われて重症を負ったらしい。
女シリーズ3作目…だと思う
こんな話、映画にしちゃって大丈夫かいな?
と不安になる内容ですが大御所たちのコミカル要素を含む演技で全体的には風刺感が出過ぎずエンタメとしてちょうど良い具合です。

ちゃんと面子が大事な人達だからプライドけなしすぎると痛い目に合うかもよ?という件もあってよかった。まだまだバブリーな雰囲気です。
ヤクザをコメディーで扱った作品が存在していないかもしくはまだ少ないころに笑い取れたのすごい
jun

junの感想・評価

4.0
映画館で観た作品。大笑いする場面があったがジーンとくる場面の方が多かった。伊丹作品の中で一番好き
tori

toriの感想・評価

4.2
「スーパーの女」「マルタイの女」と三連チャンで観た1本
一番おもしろかった

ヤクザに弱みを握られたり、理不尽に脅された場合
泣き寝入りする前に観ることをおススメする
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