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娼婦ベロニカのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

娼婦ベロニカ(1998年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

実在した高級娼婦ヴェロニカ・フランコを描いた、伝記映画。

ポルノ映画みたいなタイトルですが、エロ要素は控え目で、普通にシリアスな歴史&恋愛映画でしたね。

16世紀ベネチアにおける娼婦のあり方は興味深いものがあったし、高級娼婦に至ってはアイドル的な受容をされているのが面白かったです。
容姿や技術だけでなく、教養も求められたりして、この辺は日本の花魁とも近いものがあるのかもしれません。

主人公は家族を支える為に、高級娼婦になる事を決めます。
元娼婦の母親の修行を受けて、成り上がっていく様子はシンプルに成長物語として見れますし、最終的にフランス国王の相手までこなし、援軍の約束まで取り付ける始末。
娼婦が国の英雄にまでなる…というお伽話の様な話ですが、逆に国がペストに襲われる終盤は、魔女扱いされて裁判に掛けられてしまうと。

結局のところ、男性中心の社会において、常に女性は都合良く利用されてきたという事でしょうか。
面白いのは、だからと言って、女性同士が連帯するわけでもなく、むしろ貴族の妻と娼婦で分断してしまったり、劣等感を女性への憎悪に転換してしまう男性がいる事。
現代にも続く、フェミニズムやインセルの問題の萌芽が感じられて、興味深いものがありました。

主人公の波瀾万丈な人生を見ているだけでも面白いのですが、そこに本作は貴族との純愛物語も描かれるので、恋愛映画好きなら更に楽しめる事でしょう。
ただ、ヴェロニカ・フランコのwikiを読むと、貴族との純愛云々という記述はないので、もしかしたら、映画の創作部分だったのかも…。
というか、ヴェロニカは結婚して子供がいたとか、晩年は貧しく亡くなったとか、映画と違う部分があるので、気になる方はチェックしてみて下さい。
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