ハレルヤ

ピクニックatハンギング・ロックのハレルヤのレビュー・感想・評価

3.7
1900年のオーストラリア。岩山のハンギング・ロックへ遠足に向かった寄宿制の女学校の生徒たちと教師。そこで4人が行方不明になる事件が発生。その事件の前後を描いた物語。

オーストラリアでは実際に発生した事件として有名らしい本作での出来事。最近まで知らない作品でしたが、隠れた良作という話を聞いて鑑賞してみました。

人が行方不明になる事件を取り扱った作品にしては映像は明るめで、どこか幻想的な雰囲気さえ感じる本作の作風。でもどこか何とも言えない息苦しさも感じる。作品の空気作りの巧さが感じられます。監督は「いまを生きる」「トゥルーマン・ショー」のピーター・ウィアー。納得です。

突然前触れ無く姿を消した4人。その謎と捜索を中心としながらも、寄宿制の女学校の実態にも触れた内容。お嬢様だらけの中でも孤児育ちで孤独を抱えている生徒もいる。冷たい性格の校長。まるで半分刑務所にいるような気分になる女学校の様子も印象的でした。

事件の発端になったピクニックもそりゃ生徒たちも開放的な気分になるよなと思います。改めて前半での事件前の様子を見ると、より一層そう感じます。

失踪した4人を巡り、その周囲の生徒や教師にも影響が及ぶ。終盤での展開も心が痛むもの。その一方でのラストシーンの美しさは相反的で心に深く残りました。

ミステリーものと予想するとイマイチに感じるかもしれませんし、実際の事件を扱ってるのでそこまで起伏がある映画ではありません。ですが刺さる人には本当に刺さる作品だと思います。
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