一人ピクニックに行けない子がいる、という冒頭からまず不穏。行けない子がいるのにきゃっきゃと嬉しそうにピクニックに出かける女の子たちに残酷さを感じてしまう。真っ白なレースのワンピース姿の女生徒たちが、花束の浸かった洗面器で顔を洗ったりコルセットを締め合ったりする姿は確かに美しいんだけど、なんか冷たい香りがした。彼女たちはそれこそ大佐とか金持ちのお嫁さんになるためだけに育てられていたんだろうし、後は夫や息子の陰になり一生を終えるんだからこれが最後の美しく楽しい瞬間かもしれない。その香りがするのもしかたない。
バレンタインピクニックのハート型のケーキに、すぐに蟻がたかるのがリアルだった。彼女たちはあの蟻をはらって食べたのかな?
以下ネタバレ
↓
寄宿学校の女生徒、そして大佐一家というブルジョワのストーリーの中にあって、異分子であったのが孤児のセーラと、大佐の使用人のアルバートの兄妹。
アーマを助けたのはアルバートだし、そもそも最初に岩山で見かけたときアルバートの方がアーマを気に入ったのに、アーマが御礼を言いに来たらうまく話せないアルバート。アーマは自然と大佐の息子であるマイケルの方に行く。そして2人は親しくなるみたいな感じが、何も言わないのに身分違いを表していた。
アーマが学校に帰ってきて、みんな冷たい顔で迎えて、何があったか話しなさいよ!キーッ!ってなるところがめちゃくちゃ怖かった。だけどあり得そうな気がした。
今までも、これからも何不自由ない人生を送るはずだった彼女たち。彼女たちの人生はこれで狂ってしまったんだろう。真相がわからないってのがいちばん厄介だ。