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『ドクサベージの大冒険』に投稿された感想・評価

2.9

「コンピューターの頭脳 + ブルース・リーの強さ!」
ブロンズの超人=ドクサベージが笑うと、真っ白い歯がキラーンと音をたてて光ります。(本当)

マーベルやDCの人気者たちの先輩にあたるこのキャラクターは、大富豪で天才発明家で一流の外科医で超人的身体能力の持ち主。

今ならソッコーでアベンジャーズにスカウトされそうなスーパーヒーローが、70年代激安C級アドベンチャーのショボすぎる世界観のなかでノロノロと活躍する愛すべきダメ映画です。

ところでこの超人さん、とっ捕まえたヴィランに得意のロボトミー手術を施して、きっちり更生させてあげたりします。

って、それアカンやろっ!(笑)
(2026年10月14日鑑賞)

【パルプ雑誌のヒーローがスクリーンに!ジョージ・パルの愛すべき失敗作!】

 『ドクサベージの大冒険』(原題:Doc Savage The Man of Bronze!)は1975年公開の米ワーナー・ブラザーズ映画です。プロデューサーは『地球最後の日』『宇宙戦争』『タイム・マシン 80万年後の世界へ』等の優れた娯楽SF映画を量産したジョージ・パル(遺作)、監督は『80日間世界一周』や『芦屋からの飛行』のマイケル・アンダーソン、主演はテレビシリーズ『ターザン』で主役を務めたロン・エリーです。映画の評判はかなり悪いようですが、私は好きな一本です。

 原作は1933年に発行されたパルプ雑誌「ドクサベージ・マガジン」第1号に掲載されたケネス・ロブスンの『ブロンズの男』です。ドクサベージ・シリーズは今のところ全181話あります。ケネス・ロブスンはシリーズを書き継ぐための共同ペンネームになっていますが、第1話『ブロンズの男』を含む多くのお話をレスター・デントという作家が書いています。映画版は『ブロンズの男』にかなり忠実です。

 日本では早川書房が翻訳を5冊出していました。最後に出版されたのが1975年夏の『ブロンズの男』で、この映画が公開されることが決まっていたので急遽翻訳されたのではないかと推測します。私はこのシリーズが好きで読んでいたので、映画の公開が待ち遠しかったことを覚えています。もっとも劇場でワクワクしながら観たのは冗長でのんびりした映画でしたが。

 主演のロン・エリーは15代ターザンとして日本でも放映された『ターザン』でタイトルロールを演じていました。私も子どもの頃には熱心に見ていました。ジェーンの出ないターザンです。ロンはターザン役では髪を黒く染めていましたが、本来の髪色はライトブラウンらしいので、『ドクサベージの大冒険』でのブロンドの髪色は逆に脱色していたのかもしれませんね。

「コンピューターの頭脳を持ち ブルース・リーの強さを持つ無敵のエスパー正義の戦士!」(公開時の劇場版パンフレット) 

 お話は1936年、北極にあるドクサベージの秘密基地「孤独の砦」から始まります。ここで一人自分を高めるドクサベージです。そこに仲間からのテレパシーを感じてニューヨークへと向かいます。摩天楼のエンパイアステートビル86階にあるドクのアジトにはドクの5人の仲間達が集まっていました。

 ドクの仲間は「ファビュラス・ファイブ」(素晴らしい5人)と呼ばれており、いずれも第1次大戦中のドクの戦友たちです。ハムは弁護士、モンクは化学者、レニーは土木工学者、リトルジョンは地質学と考古学者、ロングトムは電気工学者とそれぞれドクを助ける専門性を持っています。ドクはハムから父親の冒険家サベージ教授が南米ヒダルゴ共和国で病死したと聞かされます。ビルの外からは何者かがドクを狙って銃を発射します。

 ここからヒダルゴ共和国へ飛んだドク達を待ち受ける悪人の一味とドク達の闘いが始まります。原作との大きな違いは敵のボス「キャプテン・シーズ」が最初から登場してドク達と対峙することです。原作では敵の正体が最後までわかりません。他のお話も敵ボスが最後に暴かれるフーダニットを楽しめるものばかりです。

 ジョージ・パルの考えではドクサベージをシリーズ化して何本か作り、ついにはテレビシリーズへと売り込むつもりだったようですが、残念ながら映画はヒットせずにこの一作で終わりました。エンドタイトルに映る続編『悪魔の宿敵』に乞うご期待!という文字が虚しいです。

 この映画の評価が本国で低いのはやはりあまりにもキャンプ(大げさ、悪趣味で面白いこと)な作り方をしているからだと思います。60年代のテレビドラマシリーズ『バットマン』も今のシリアスなバットマン映画とは正反対のコメディタッチで多くの批判を浴びていましたが、『ドクサベージの大冒険』も同じように大真面目にドクサベージを映像化していて、それがまるでパロディコントのような味になってしまっています。

 そのため米国の原作愛好者からは酷評されているようですが、日本ではまったくそんな状況にはありません。やはり年少時代から慣れ親しんだパルプ雑誌のヒーローだったことはからなのでしょう。原作を知らないので愛すべきトホホなB級アクション映画として評価されているのは、『フラッシュゴードン』と同じなのかもしれません。ちなみに音楽は予算削減のためにスーザのマーチ『雷神』を使っています。タイトルのSUSAの"USA"は赤白青で表示されています。しかも、ご丁寧に歌詞まで付けて「ドックサベージ!ドックサベージ!」と連呼しています。

 ちなみに『サランドラ』の殺人鬼プルート役で評判を取るマイケル・ベリーマンはこの映画で俳優デビューしています。ヒダルゴ共和国の検視官の役で目立ちます。
パルプマガジンのヒーローの映画化だが、これ1本でr終わる。マイケル・アンダーソン監督だが、キャストが無名ばかり。児童向きでも、日本では知名度がなく、大人にも無視され、正月映画だというのに、公開3日目でも東急レックスの客は数人のみ。併映に「ルーニーティーンズ」の「トゥイ―ティーとシルベスター」シリーズを5本付けたけど、集客効果はない。
渋谷東急レックスにて。