どど丼

πのどど丼のレビュー・感想・評価

π(1997年製作の映画)
4.7
A24による4Kリマスター版が今日から日本公開という事だが、劇場で観れる自信が無くて自宅鑑賞。圧倒された、、

理論と実証のギャップが滲み出す底知れぬ好奇心の沼、そして絶対的な真理を求める行為が神の意思に背く禁忌である事を、僅か90分足らずで映像化してしまった衝撃作。主人公の曖昧な心理性を掻き立てる映像演出は塚本晋也を彷彿とさせる奇抜さで、テーマに対する表現方法の過剰さは「ボーはおそれている」を観た時と似た感覚だ。

自分に数学的センスは無いのだが、子供の頃に宇宙の真理を脳内で突き詰めようとした時に居心地の悪い浮遊感に苛まれながら一定の地点でシャットアウトされる…という気味の悪い経験をしていて、ダーレン・アロノフスキーもそういう感覚を映像に落とし込みたかったのかなと思った。その想定解の1つとして宗教神を根源に置いた辺り、監督が元々ユダヤ教徒と出自が反映されていそうで、そういう観点でも独自性が強く出ていて面白い。

とんでもない映像体験をした。低予算映画な分、フィルムの映像自体も粗いので(それが味とも言えるが)、A24版の仕上がりも気になるな。
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