けーはち

ヒッチャーのけーはちのレビュー・感想・評価

ヒッチャー(1986年製作の映画)
3.7
テキサスの荒野に現れた殺人鬼ヒッチハイカーを辛くも車から追い出す主人公の青年だが、そこから執拗に付き纏われる、ハイウェイ不条理追走劇スリラー。「激突!」の顔なき追跡者と違い、本作は「ブレードランナー」でレプリロイドのボスを演じたルトガー・ハウアーが、冷酷な顔で常に緊張感を演出。主人公の立場からすると、警察に通報したら逆に罪を着せられ、行く先々で保安官を殺され、パトカーもヘリも景気良く爆破、親しくなったヒロインさえも……と殺人そのものよりも、殺そうと思えば殺せそうな場面でもキャッチ&リリース、逃げ場をなくし主人公との対決を求める犯人の無駄な周到さの割に行動原理が謎で、見ている側はその不条理さに可笑しくすら感じてくる。破綻した頓珍漢なB級スリラーと言えばそれまでだが、人間を貶める「悪」そのものの象徴のような犯人の姿は恐ろしくも印象に残るカルトムービーになっている。